大和川・石川、河岸巡り
2016/5/11

駅でもらった近鉄のハイキングの冊子、実施日は大概が週末なのだが、中にはウィークデーのものもある。「至福の香りを求めて♪ 新緑と歴史の中で自分色のワインを探そう!」なんて、まさに私向きのものが見つかった。ちょうど水曜日で仕事のない日だ。雨が降り続いていて天候はいまひとつでも、歩く間ぐらいはもちそう。傘を忘れずにリュックに入れる。近鉄には悪いが車で出かけることにする。

ゴールに設定された南大阪線駒ヶ谷駅付近で駐車場を探す。コースにも含まれる石川河川公園の駐車場は平日は無料、しかも駅の裏手でうってつけ。ここから電車で3駅、スタートの土師ノ里駅に向かう。

土師ノ里駅はおかしな駅だ、このあたりは古市古墳群と呼ばれる地域、允恭天皇陵と仲津山古墳(仲姫皇后陵)の間に駅がある。それどころか、駅前に鍋塚古墳という小山まである。允恭天皇陵の空堀はネットフェンスで囲まれ、「ゴミ捨て禁止 宮内庁」という看板が出ているあたり、いかにも河内という感じがする。古墳など珍しくもないし、公園のように中で憩うことも出来ないうえ、夏ともなれば蚊は湧くし、ありがたくも何ともないという庶民感覚はよくわかる。一方で近くの黒田神社は、ずっと身近な存在なのだろう、綺麗な佇まいで大きな地車倉庫まである。まるで対照的だ。

国府遺跡というのはただの原っぱに何本かの大樹があるだけの空地だが、これが旧石器時代の遺跡だそうだ。このあたりはずいぶん昔から人が住んでいたことになる。北行する石川に沿った道は、近鉄道明寺線に平行する歩道橋で大和川を渡る。2輌だけの電車が鉄橋を渡っていく。
 大和盆地から流れてきた川はここで流路を変える。石川と大和川が合流する地点から少し西に寄ったところ、宝永元年というから300年以上前に付け替えたところだ。地形図で見ても蛇行する流路が突然ここで直線化していることがよく判る。

子どもの頃、汚い川の代名詞のようだった大和川も、今ではずいぶんと綺麗になった。それだけ色々と手を加えてきたことになる。堤防上にはサイクリングロードが出来ていて、そこをハイキングの人も歩く。また降りだしそうな空模様、日差しのないほうが良いとも言える。ここを歩き続けると日焼けは避けられないだろうし。

大和川右岸の柏原市役所のあたりは近鉄大阪線とJR大和路線が並行する。両線が交差するあたりから山手に入る。高井田横穴墓群がその先にある。横穴の中には入れないので鉄格子の隙間から覗く。凝灰岩を刳り抜いて造られたもののようだ。土地の豪族のものなのか。公園の中に数多の横穴が点在し、小高いところに柏原市立歴史資料館がある。「江戸時代の国分村」という企画展が開催されている。村絵図、宗門人別改帳、検地帳など、非常に保存状態のよい古文書が並んでいる。いま多少関連のある仕事をしているだけに興味が尽きない。

横穴公園を後にして今度は南へ。大和川を左岸に渡り、西に府道12号で丘陵を越える。続いて石川沿いのウォークとなる。最初は右岸、玉手橋という歩道橋で左岸に渡り、竹ノ内街道でまた右岸に戻る。もうそこは石川河川公園だ。

出発時に駅で配られたマップでは河内ワイン館を訪れて駒ヶ谷駅にゴールとなっている。しかし、駐車場に戻ったのでワイン館は帰りがけに車で訪れることにする。
 ここは羽曳野市、隣接する柏原市から太子町にかけて生駒山地の斜面はブドウ畑が連なっている。それがこのワインになるのか。ブドウは昔からでも、ワインを作り出したのはそんなに古くない。今は輸入ワインが安く入手出来るから日頃はボルドーとかを飲むことが多い私だが、せっかくなので1本購入、ついでに面白いラベルの梅酒も。「どうぞ試飲も」と勧められるが、車だし、それはちょっと。それなりのお値段だし、不味いわけはないはず。

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