納涼滝めぐり 〜 十津川村の笹の滝
2016/7/24

暑いときは滝見物に限る。滝壺に入るのは危険なのでそんなことはしないが、天然のミストを浴びるのは快感。目指すのは奈良県の南、十津川村の笹の滝だ。日本の滝100選だそうである。

わが家から往復100kmだから、そんなに遠くはないにしても、カミサンと一緒だと出発が遅いから時間もかかる。未明に大峰山脈南部の山登りに出かけるときだとスイスイと走る道も滞りがち、到着はお昼になる。国道168号は数年前の水害の復旧工事がまだ終わっていない。自然が豊かな反面、十津川流域に住むのは極論すれば命がけだ。奈良の街中と比べるとリスクは桁違いだろう。以前、山の帰りに一風呂浴びた夢の湯の近くでも、山体が崩れた爪痕が明瞭に残っている。

吉野から大塔村の分水嶺を越えて十津川沿いに南下する。谷瀬の吊り橋を過ぎ、風屋貯水池に至ると間もなく滝川への分岐、国道はここで急カーブするから南から来るとどちらが本谷か間違いそうなところだ。ここから笹の滝まで10kmあまり。山間部の林道のこと、対向困難な道が続く。笹の滝あたりも災害で長らく立ち入りが出来なかったらしい。今でも林道の先の不動滝方面へは路肩崩壊で通行禁止になっている。

日本の滝100選を示すの滝へのゲートがある。ここから10分もあれば笹の滝に至る。名前もない滑滝の横を通り、エメラルド色の滝壺を眺めるだけでも涼気が味わえる。巨岩の隙間を抜けるとその先に笹の滝が見えてくる。音はなかなかのものだが、そんなに大きな滝ではなさそう。

滝が近づくと音もだんだん大きくなる。滝壺の側には岩に鎖が付けられていて、これを頼りに滝壺の側まで近寄れる。笹の滝に正対すると細かい水しぶきが顔に当たる。最近は街中にも増えたミストの天然版だ。もちろん涼気は段違い、手を浸す水も十分に冷たい。と、気持ちいいことだけではない。横の岩の上に蛇のお出ましだ。小さなヤマカガシ、これも毒蛇の端くれかまわないことだ。
 滝壺の側で涼んだら途中の道の駅で買ったお弁当の時間、さっきの滑滝のそばにしよう。と、今度は飛び石伝いのつもりが靴がチャポン、おやおや靴の中は浸水、ビショビショとなる。こうなってしまえば、委細かまわずジャブジャブと歩くのが気持ちいい。
 この笹の滝への道も災害のため長く不通になっていた。開通してまだ一年も経っていない。大峰山脈の主稜線に分け入る谷で山深いところだ。さりとて奥駆道への登山道がある訳でなく、沢の遡行しかないエキスパートの世界となる。気楽に観光できるのは笹の滝までだ。

帰路、往きには素通りした谷瀬の吊り橋に立ち寄る。カミサンは高いところは嫌いだし、ましてや吊り橋なんてとんでもないという人なので眺めるだけ。前に家族で来たときも渡らなかった。今度はトライしてみようかということだったが、定員20名とあるのに、それ以上橋の上にいる様を見てやっぱり断念。見張りの地元のおじさんが「はい、どうぞ」と言っているし、人数には十分余裕をみているはずだから問題ないのに。
 私自身は山帰りに渡ったこともあるので3回目、今日の揺れ方はこれまでで一番かな。川面から50m以上あるからダメな人はダメなんだろう。悪ガキは踏み板じゃなくて端っこのネットの上に乗って喜んだりしているのに。

国道沿いには茶店が建ち並び駐車場は有料、でもいったん河原のキャンプ場方面に下って対岸の車道を登れば向こうの橋の袂には数台分の無料駐車場がある。ここに駐めて往復すればいいのだが、そんなことは初めて来る人には判らないだろう。この十津川右岸には展望台への散歩道がある。吊り橋を見下ろす尾根上に新しく作ったもののようだ。何と言っても歩道としては日本一の吊り橋、十津川村の貴重な観光資源だから。国道沿いの集落と対岸の集落を繋ぐ近道としての吊り橋というよりも、車で行ける今では専ら観光用ということかも。

途中、道の駅吉野路大塔で休憩。ここのロッジ「星のくに」には家族で来たことがある。南北の分水嶺の上だから、夜には冷え込んだのを覚えている。道の駅の向かい側に天誅組本陣跡という案内板があったので登ってみた。ここはさらに高所、天辻峠というところ。維新歴史公園という大層な名前が付けられているが、碑があるだけ。天誅組の支援者だったという鶴屋治兵衛の屋敷跡であり、その後ここには廃校となった天辻小学校があったらしい。こんな山奥、しかも尾根の上、「星のくに」なんてあるぐらいだから、空気は澄んでいても思いっきり寒い。通う子供たちは否が応でも健脚となるだろうなあ。

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