今がチャンス、金剛山雪中登山
2017/1/26

この冬一番の冷え込みで、奈良の朝の気温は-4℃とか。数日前から日本海側は大雪、平野部でも降ったのだから山間部ではかなりの積雪になっているに違いない。昼間の気温は上昇して穏やかな天候が予想される木曜日、昨年の暮れに買ったチェーン・アイゼンを試しに金剛山に登ってみよう。

金剛山にはたくさんの登山コースがある。何度か登っていても未踏のルートは数多い。今回は水越峠側の青崩から登ってみる。国道は問題ないにしても脇に逸れると積雪や凍結が予想されるので安全第一、国道309号の水越トンネルを大阪側に抜けたところ、旧道に入ったところに車を駐める。少し前に子供の死体遺棄で騒がれたのは、たぶんこの旧道沿いのことだろう。

さすがに金剛山、平日にもかかわらず登山者がいる。相当数の駐車車両が並んでいる。私と同じく、週末を待たずに雪中登山という人たちだろう。登山者用トイレの洗面台には落ちた水滴が棒のように屹立しているぞ。これから辿る林道にも雪が残っている。これは最初からアイゼン着用だ。ストックのリングも雪用の大きなものに取り替えた。

当初の心づもりは、登山口から青崩道を登り、太尾西尾根を下るというものだったが、青崩道の入口を通り過ぎてしまったようだ。地図だといきなり尾根に取り付くようになっているが、林道歩きが続く。金剛山には意外に道標が少ない。もっとも、雪に隠れてしまってるのかも知れない。それなら、谷筋をしばらく行って石ブテ尾根道を登ろう。いっぱい道があるから、予定変更も自在だ。

登るにつれて雪の量は増えていく。吹きだまりでは20cmぐらい残っていそうだ。過去に登った金剛山でこれほど積もっていたことはない。尾根への登りはじめは相当な急傾斜だが、先に登った人もいるようで、いちおう踏み跡は着いている。普段と違ってストックを強く突きながらとなるので、肩が凝りそうだ。雪がなければ2時間あまりの道のりだと思うが、この調子だと3時間近くかかりそうだ。

下りに予定している登山道と六道の辻というところで出逢う。なんだ、そっちの道はずいぶん人が歩いているみたいだ。道幅も広くなり、スキー場のゲレンデのように雪も固められているので、ほとんど沈むこともない。積雪直後の登山ルートの様子は人気を如実に反映している。まあ、そういうことか。

金剛山でこんな雪道歩きになることは、年間でもわずかの日しかないだろう。山頂付近に残っていることはあっても、全行程で雪を踏むというのは稀なはず。いい加減、雪道にも飽きてきた頃に大日岳山頂、三角点はない独立標高点、樹氷の隙間から台高山脈が望める。高見山あたりは相当積もっていそうだ。金剛山頂の葛木神社の狛犬もパンダのようになっているのが可笑しい。はい、到着、思ったよりも結構長いみちのりだったなあ。やれやれ。

毎日登っている人も多いだけに頂上一帯は賑わっている。ロープウェイで来たお手軽組から、各方面からそれなりに長い行程を経て到達した人たちまで、老若男女さまざま。ここでお湯を沸かして二度目の食事、途中おにぎり1個だけだったもの。

気温は低いが、風がないのがいい。国見城趾からは大阪平野が一望だ。隣の大和葛城山も頂上部の草原は白くなっている。あっちは、山頂に樹木がないから、晴天が続けばすぐに解けてしまうだろうけど。この週末にはどちらも雪中登山の人たちが押しかけることだろう。

さて、今回の山登りでは、いきなりトラブルが発生した。むかし使っていたごついアイゼンはあるのだが、軽くて装着が簡単なチェーン・アイゼンを使ってみた。ところが、1時間も歩かないうちに壊れてしまったのだ。つま先部分のチェーンがアイゼン側の金具から知らないあいだに外れていた。リングの隙間が開いて抜けてしまったようだ。CAMP(カンプ)というブランドで、5000円ほどのアイスマスターMという軽アイゼン。爪は短いが本数は多くて登山靴へのフィット感もいいのだが、これではねえ。

さすが Made in China、安物買いの銭失いの極み。腹が立つよりも、笑ってしまいそうだ。しかし、ものがものだけに、金剛山ならそれで済ませることも出来るが、下手をすると事故にも繋がりかねないことだ。高価な本格的なアイゼンも出しているブランドだけに、放置しておく訳にはいかないだろう。翌日、購入した好日山荘に電話する。

「金剛山で初めて使ってみたら、1ピッチも歩かないうちに壊れてしまいましてねえ。もう、呆れてしまいましたわ。この週末にでもお店に現物を持っていきますので、個体の問題か、製品の設計の問題か判りませんけど、いっぺん見てくれはりますか。」

「文句の多い客ほど不良品が当たる」ということなのかなあ、「安い客ほど文句が多い」なんてことも言われるけど、「安かろう、悪かろう」という品物をアウトドア専門店で売るのもいまいちだなあ。
 そして、出かけた好日山荘、今回のトラブルについてはメーカーにフィードバックしてもらえるようだ。いまどきはメンバーズカードもあるので、購入履歴もすぐわかるから話がはやい。カードだらけで鬱陶しいがメリットもあるなあ。すこぶる円満に返品返金処理をしてもらった。交換という選択もあったのだが、一度ケチがついた商品を使う気にもならず。
 ところが、店頭の同じ商品を手にとってみたら、「あっ、変わっている」、そうなのだ、最初に外れた箇所が金具に1本のチェーンで接続していたのに、金具はなくなり2本の足で繋ぐようになっている。クルマでもそうだが、初期不良の改良は日々行われている。これもそれと同じか。店の人もこれには気付いていなかったようだ。ちょっと気持ちは揺らいだが、返金してもらった後だし、交換は見送った。こうなったら、大昔のタニのアイゼンを復活させようか。

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