那須ヶ原山 〜 南鈴鹿はあぶない
2017/6/3

名阪国道上柘植インターを降り、前に行った油日神社のほうに車を走らせる。この日の目的地は那須ヶ原山、油日岳と先日の高原山の間にある山だ。南鈴鹿の山は標高は高くないが、稜線はガレていて危ない箇所が多い。ここもそのひとつ。カミサンにも行先は告げていないし、登山届も出していない。登り口にはQRコード読取で提出できるように看板があったが、それも面倒なのでパスした。ほんとうは出すべきなんだけど。

滋賀県側、大原ダムの上流の林道の二股に車を置き、周回するつもりで谷筋の道を上っていく。路面に落葉や枝が散乱していて状態のいい林道ではない。那須ヶ原山への道と、坂下峠への道が分かれる少し先に作業小屋のようなものがあり、その前の広場に車を置く。登山者は誰もいないようだ。

那須ヶ原山方面へも林道は延びるが二股にはロープが張られていて車両通行止めのもよう。過去の砂防工事用の道だったんだろう。路面に岩が転がり路肩も崩れている。とてもじゃないが車は無理。すぐに林道は終わり、一合目の札が現れる。標800m、標高差も大したことはないのに、十合目まであるんだろうか。1時間ちょっとのはずだから、こちらは休憩無しに登るつもりだけど。

小さな滝を過ぎて尾根に取り付く。伐採跡の植林地帯に入ると琵琶湖側の眺めが開ける。あまり眺望は期待していなかったのに、これは意外。登山道の脇のピンクの小さい花はタニウツギ。短い行程を十分割しているで、次々と何合目という札が現れる。まあ、いい目安かも知れない。九合目がないと思っていたら山頂到着だ。

奇妙な山頂。三角点の横に祠がある。小さな草地になった山頂に半地下の小屋がある。山頂部を削って作ったのだろうか。数名の宿泊が可能な避難小屋という感じ。薄暗くてあまり気持ちはよくないが、風もあるので中で湯を沸かす。先日は失敗したのでガスコンロは慎重に組み立てる。食べ終える頃には山頂にいた、二人の登山者の姿は消えていた。彼らはどこから登ったんだろう。

さて、ここからは要注意の尾根歩きとなる。右手に三重県側の眺めが得られる。かなり遠くまで見える。北の名古屋市街から志摩半島まで、要するに伊勢湾が全部視界に入るということ。もちろん対岸の知多半島、渥美半島も望める。思ったより展望の良い尾根歩きだ。帽子が飛ばされないかと気になるほど風は強い。大陸の高気圧から吹き出す風なので肌寒いほどだ。

木立の中の道かと思えば、痩せ尾根に変わる。両側が切れ落ちている箇所は多くないものの、問題は細い道の上に落ち葉が積もっていること、これはとても滑りやすい。慎重に歩を進める。小さなピークの連続で、上り下りが交錯する。距離の割には時間がかかる。坂下峠まで1時間20分とかのコースタイムで、だいたいそれぐらいを要することに。
 1/25,000地形図にはないが、登山地図には峠近くに唐木キレットとう表記がある。六甲山と同様、花崗岩の山なので浸食が激しく尾根筋の道は半ば崩壊している。通れなくもなさそうだが、進行方向にロープが張ってあって巻き道に誘導している。落っこちて怪我をしても、他の登山者などいそうもないのでここは無茶はしない。少し沢筋に降りて谷を横切る巻き道なんて珍しい。問題のキレットの下部をトラバースする箇所はずいぶんな傾斜だ。岩場にロープが張ってあるが、問題はここでも落ち葉、そろりと通過 。ご丁寧に「三点確保」の看板がある。危険箇所に看板というのはありがちだが、そこは誰でも注意する。事故は大概その前後で起きる。長く山登りをやっている経験知、気を緩めずに再び尾根上に。

坂下峠はもうすぐだ。伊勢側の坂下宿には前に訪れたことがある。ここから鈴鹿峠を越えて甲賀側の水口宿というのが旧東海道、鈴鹿峠の南の坂下峠は間道というところか。かつては車も通れる道だったようだが、峠付近はたんなる雨裂の様相、四駆であっても、とても走れるような道ではない。登山道の坂下峠は少し伊勢側にあるので分水嶺に登り返す。両側からの崩落が続いているのか、ここは砂礫に埋まった荒涼とした風景だ。

西へ大原川沿いに下る道はかつての車道の名残りを留めている部分もあるが、ほとんど山道。なまじ車道だっただけに、大きな亀裂が出来ていたりして、かえって歩きにくい。途中には打ち捨てられたバイクの残骸が転がっている。こんなところに捨てに来ることもないだろうから、オフロードを走ってえらい目に遭ったのだろう。そのまま片付けもしないのだから、自業自得、同情の余地なし。条例違反で罰金を徴収すればいいぐらいだと、登山者はモーターサイクリストには厳しい。まあ、こっちだって山奥まで林道を車で分け入るのだけど。

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