ひさびさの株主総会
2017/6/22

定年まで勤務していた会社で法人営業の仕事をしていたときには株主総会に出席するのも仕事のうち、この時期になると何社かの総会に出かけたものだ。それは機関投資家としての株式保有なので、自身の意見を総会で表明するわけにはいかないが、今は晴れて自由の身、自分の持ち株だから誰に咎められることもない。勤務日でない木曜日、近鉄グループホールディングスの定時株主総会に出かけた。

電鉄会社の株主総会は面白い。単位株を買って半期毎の優待乗車証を楽しみにしているような沿線の人が多いのだろうか。質問の内容もいつも利用する電車の身近な問題が多い。曰く、「近鉄電車は違う色の車両を連結して走らせていることが多くて、みっともない」、「藤井寺駅で始発列車が本線に停車していて、急行が待避線を通過するので揺れてたまらん」、「湯の山線の駅には蜘蛛の巣がはっていて見苦しい」、というような質問が延々と続く。これが阪急阪神ホールディングスの株主総会なら、電車のことよりも「金本はアカン、解任しろ」とかの追求が多くなり、翌日のスポーツ紙を賑わすところだ(今シーズンは、そういうことはないか)。

会場は大阪上本町駅のシェラトン都ホテル大阪、例年3000人規模の参加があるらしく、大宴会場だけでは足りず、第二会場や廊下スペースまで、4階フロアを全て使い切るという様相だ。どうせ行くなら経営陣と正対するところで質問しようと1時間前に到着したのだが、そこまですることはなかった。せいぜい30分前でもいい。お土産は大和文華館・松柏美術館の招待券と聞いていたが、受付で渡されたのはパイロットのシャープペンシル「コクーン」、定価1500円のものだ。調達価格は1000円を切っているかも。きっと美術館の招待券が不評だったのだろう。議決権行使書と引き替えに出席票が渡される。半券のバーコードを議決権行使書に貼付していたから、質問時に番号を告げるとどこの誰兵衛で何株持っているか、雛壇の役員のPCに表示されるのだと思う。会場の案内には若手職員が大量動員されていて、なかにはラグビー部員なのか屈強そうな子もいるのが可笑しい。

もちろん、経営の根幹に係る質問もある。曰く、「ここ数年の各事業別の営業収益推移を見ると、鉄道事業以外は下降トレンドであるのはどういうことか」、「配当性向が高いとは言えないが、どう考える」、「近鉄百貨店は上場子会社になっているが無配続き、上場している意味があるのか」など。

第一会場と第二会場とを交互に質問を受け付けるのだが、挙手する人が多数で内容は玉石混交、専門用語を繰り出しマニアックなことを訊くテツちゃん、だらだらと何を言っているのか判らない爺さんとか、こういう株主に付き合う経営陣もなかなか大変だ。前から10列目ぐらいの中央で挙手し続けた私だが、どうもうるさそうだと避けられたのか、とうとう指名はされず。残念。もともと2時間程度で質問を打ち切って議決に進むというシナリオだったんだろう。大紛糾するような問題があるわけではないから、平穏と言えば平穏、昔の「異議無し」シャンシャン大会ではなく、株主に言わせるというだけでもいいことかも。

結局、質問しようと思っていたことは表明の機会を得られなかった。折角だから、自宅に戻って近鉄グループホールディングスのホームページから投稿しておいた。総会では3問までという制約でもあり、ホームページの投稿限度の800字以内でまとめた。さて、どんな回答が返って来るか楽しみだ。

(2017/6/30 追記)

近鉄グループホールディングスから以下の回答メールがあった。時間切れでなければ株主総会での質疑応答なので、パブリックなものと考えるため掲載することにした。そのことについて先方の了解は得ていない。回答内容について、さらに言いたいことはあるが、先方の反論の機会がない場所なので、ここまで。

この度は弊社株主総会へご出席を賜りありがとうございました。ご意見・ご要望窓口である、広報部より回答させていただきます。

 ご指摘いただきました、弊社車両のシートにつきましては、お客様サービスの重要なポイントと捉えており、定期的に更新や補修を進めておりますが、このたび頂戴しましたご要望も参考に研究を進め、今後もより快適な車両をご提供できるように努めてまいります。
 また、山陽電鉄姫路への特急車両での乗り入れにつきましては、現在のところ具体的な計画はございません。なお、阪神神戸三宮までは団体臨時特急という形で運行しており、お客様のニーズを確認しながら検討してまいりたいと考えております。
 この度は貴重なご要望をいただきまして、ありがとうございました。いただいたご要望は今後の参考とさせていただきます。
 頂戴いたしましたツアーのご指摘に対し、当該ツアーの主催会社であるクラブツーリズム株式会社に事故に関する事実関係およびその後の安全対策等の状況について以下の通り回答を得ましたので、ご回答申し上げます。

謹啓 平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
 この度は近鉄グループホールディングス株式会社様を通じまして、弊社クラブツーリズム主催ツアーに関しての貴重なご意見、ご指摘を頂戴しましたこと、謹んで御礼申し上げる次第でございます。
 この度ご指摘いただきましたとおり、2014年8月実施の弊社主催の登山ツアー「燕岳・大天井岳・常念岳縦走ツアー」においてお客様の事故が発生し、多大なるご心配をおかけすることとなりましたこと、まずは心よりお詫び申し上げます。

<事故概要について>
 2014年8月22日出発の弊社主催「燕岳・大天井岳・常念岳縦走ツアー」におきまして、日程3日目(8月24日)午前9時頃に、ツアーご参加者のうち一名が一ノ沢沿いの高巻道、6段の木の階段に続く短い木道上にて躓きバランスを崩し、登山道から右下の急斜面(草の中にとがった岩が所々ある)を横に転がるように滑落されたものでございます。
         ※なお、幸いお客様の容態はその後回復されております。

 弊社におきましては、登山ツアーにおける安全を確保すべく、企画担当者による下見や、ガイドからの報告を通じて、標高差や歩行時間等で明確なレベル分けを行っており(「登山入門」・「登山初級A」・「登山初級B」・「登山中級A」・「登山中級B」・「登山上級」)、また、レベルの見直しも適宜行っております。パンフレット等においてもこの旨を明記することでご参加の目安としていただいております。
 加えて、ツアーによっては年齢制限の設定や上級者ツアーは事前に体力測定を必須とする等の対策を強化しております。さらに、ガイドレシオについては、従来は24〜26名のお客様に対して2名のガイドで対応との社内ルールを設けておりましたが、ご指摘いただいた2014年8月の事故を受け、お客様20名に対し2名のガイドとし安全対策を強化しているところでございます。
 以上ご報告申し上げますが、ご指摘いただきましたとおり、同様の事故を起こさないために、弊社といたしましても、今後も引続き安全対策を強化し、お客様に信頼いただけるよう登山ツアー運営を行ってまいる所存でございます。
 この度は貴重なご意見を頂戴いたしましたこと、改めまして厚く御礼申し上げます。どうか今後とも変わらぬお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。
                                敬具

 以上をもちまして回答とさせていただきたいと存じます。
 引き続き近鉄グループをご愛顧くださいますようよろしくお願い申し上げます。

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