酷暑の酒蔵ハイク 〜 奈良公園から豊澤酒造まで
2017/7/8

たぶん一蹴されるとは思っていたが、案の定、この蒸し暑いのに街中を酒蔵目指して歩くなんて、カミサンが付き合ってくれるはずもない。休日の朝早くから奈良公園へ。そりゃあ、鹿だって日陰でゴロンとしているぐらいだもの。それでも、ハイキング受付には長蛇の列、後で知ったが1005名の参加、じいさんばあさんは元気だ。と言うよりも我慢強いのか、たんに暇なだけのか。

マップをもらって歩き出す。前にどこかの福祉施設でもらった熱中症予防リボンを水に浸して首に巻く。この季節の山登りやハイキングには必携品だ。興福寺境内はあちこち工事中、中金堂の造営をしているようだ。阿修羅でずいぶん稼いだのかな。写経で復興資金を捻出した薬師寺といい興福寺といい、なかなか奈良のお寺も商売人、京都に負けていないなあ。

猿沢池から奈良町へ、しばらくぶりに歩くと、いろいろと変化がある。市立図書館の前には芝生が整備されてヘンなモニュメントができている。元興寺は素通りだが、ほど近いところに元興寺文化財研究所があるのを初めて知った。看板がなければ普通の民家かアパートのよう。ここは公立ではなく民間の研究機関、この種の機関としては珍しい。別の場所に分室や総合文化財センターもある。

奈良町は最近では観光スポットになっていて古民家を使った店が増えている。ならまち格子の家は町屋自体を新築した施設だ。そんな路地に、老舗なんだろう、吉田蚊帳がある。昔のおじいちゃんの家には立派な蚊帳があったが、今どき使っている家庭は稀だろう。そんな商売が続いているのは奈良らしい。もっとも、店先で販売しているのは布巾とかの類だ。ハイキングに参加したおっちゃんがまとめ買いをしている。奈良でふきんの逸品なら白雪ふきんだと思うのだけど、こちらも有名なんだろうか。

奈良町を抜けるとJR京終(きょうばて)駅、このあたりはクルマで渋滞時の抜け道なのだが、まあ狭くて、地元の人間でなければ遠慮したくなるような道だ。西に大安寺へ向かう道はだいぶ広くなってクルマのディーラーが立ち並ぶ。このあたりは南京終町というのだが、漢字の並びだけだと「なんきんおわりまち」と読んでしまいそう 。ディーラーの看板にも「南京終店」。ちなみに、「ぺきんおわりまち」もあるが、「とうきょうおわりまち」はない。いずれにせよ、このあたりは都のはずれ、1300年経ってもそういう雰囲気は残っている。

南都七大寺の一つという大安寺には来たことがなかった。広い境内には随所にベンチが置かれていて緑陰の休憩にはちょうどいい。ちょっと交通の便が悪いところだから、観光客も訪れることがない。地元の人間だってこれが初めてなのだから。今でこそのんびりした奈良の佇まいだけど、ここに都があった頃は不穏な情勢で乱れた世情、寺院勢力もその一翼を担っていたわけだ。現在はそんな風情は欠片もない。

そして、ゴールの豊澤酒造、二回目だ。前回は天理から歩いたので、今回は反対に北から辿り着いたことになる。酒造の前の石垣にはどこかのおばはんが早くもひっくり返っている。暑い中を歩いて冷酒を飲み過ぎてという図だろう。歳をとっても賢くならないのは困りもの。と、人のことは言えないが。五種類の冷酒を飲み比べ 、もうちょっと冷たくてもいいと思うのだが、タダ酒に文句は言えない。一本お土産に購入して帯解(おびとけ)駅へ。近鉄主催のイベントだからコースマップでは関連会社の奈良交通バス停に誘導しているが、参加者もJR万葉まほろば線(桜井線)の最寄り駅が近いことを判っている。二両編成のローカル線で近鉄乗換駅の天理に向かう。いやあ、暑かったなあ。1kgぐらい体重が減ったかも。

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