R169滝めぐり 〜 川上村から下北山村へ
2017/10/4

縁があって奈良県最南部の下北山村に出かけることが多くなった。奈良県の南半分は大峰山脈で東西に隔てられていて、西側は十津川村、東側が上北山村、下北山村となる。奈良市内からだと車で2時間半、昔に比べると国道169号はずいぶん整備されて近くなった。もっとも、下北山村は海まで40分、三重県熊野市のほうがずっと近い。

暑いうちに滝見に行こうとカミサンと出かけることにした。山登りには出かけても、途中の滝見物を目的にするわけではないので、有名なのに観たことのない滝が国道169号沿いにはあるのだ。

吉野町から川上村に入ってすぐのところにあるのが蜻蛉の滝、国道からの距離も短い。あきつの小野公園の奥にこの滝がある。平日なので人もいないだろうと思っていたら、車が何台も駐まっている。公園内の岩に群がっている人たちがいるのが奇妙だ。
「何したはるんですか」と尋ねると、「苔の観察ですわ。滝まで5分いうけど、こんな調子やと1時間半ほどかかりそうですわ」と、リーダーと思しき人。
 メンバーの人たちはルーペを覗き込み熱中している。これが最近増えているらしい苔マニアか。ちょっと苔ガールというのはどうかという年齢層だけど。確かにここは大台ヶ原の麓だから、種類も豊富なんだろう。

かと思えば、公園の奥の方ではラブラドル・レトリバーが3匹走り回っている。ドッグランと滝見物なのか。はたまた滝見のテラスではじいさんばあさんが座り込んでお弁当を広げている。いろんな人たちが来ているのだ。こちらはオーソドックスな滝見物、螺旋階段で滝壺近くに降りて見上げ、遊歩道を上り滝上部から見下ろす。50mほどの落差があり一枚の写真にはとても収まらない。複数枚を繋いでみると中央部が膨らんだようなヘンな写真になってしまった。まあいいか、オーバーハングしているように見えるけど、いちおう全容はわかる。

我々も公園でお弁当を食べて、さらに南に向かう。伯母峰トンネルを抜けると北山川流域、分水嶺を越えたので川の流れが逆になる。上北山村から下北山村に入ってすぐ、前鬼橋を渡ったところから右の谷に車を進める。大峰奥駆道の前鬼宿坊に続く道だ。吉野から入山すると、山上ヶ岳、弥山、大普賢岳、釈迦ヶ岳と核心部を縦走して前鬼に下りる。私はそれぞれの山には登っているが、前鬼には来たことがない。役行者の従者だったという夫婦鬼の末裔とかの五鬼助さんはテレビ番組でもよく取り上げられている。その宿坊まで車道は通じているようだが、一般車は展望台の先までのようだ。

落石の多そうな道を奥に進むと、不動七重ノ滝を眺める絶好のポイントに至る。規模が大きいから近すぎると全容が掴めない。ここだとだいぶ距離はあるが、それでも瀑音が響いてくる。七重ノ滝というからには七段あるはずだが、全ては確認できない。見えないがまだ上にあるのだろう。もちろん、ここは「日本の滝百選」に名を連ねている。熊も出没する山奥だが、展望台から眺めるだけならその心配はない。

しばらく滝に見とれていると、何やら滝の中段あたりに人影が。谷を越えて滝近くまで遊歩道があるので、往復1時間ほどの見物をしているのかと思ったら、滝の縁に現れる人の数が増えていく。あそこまで行けるんだ。どうも沢登りという雰囲気でもないなと思っていると、滑り台のように滝壺に飛び込む人、えいやっとジャンプする人、あらら。そうか、これは最近流行っているキャニオニングの人たちだ。遠目でよくわからないが、ウエットスーツにヘルメット、ライフジャケットという出で立ちなんだろう。これは面白そう。そう言えば、次男がともだちとこの夏に参加したとか言っていたなあ。

下北山村に来たら明神池の畔の池神社にお詣り、そのあと池原地区で普段お世話になっているご夫婦への挨拶に立ち寄る。手土産にお酒を差し上げたら、刺身でもいけるという鹿肉やサツマイモを頂戴し、かえって恐縮してしまう。前には猪肉をいただいたこともあったし、これはジビエ料理の研究が必要だ。
 ご主人曰く、「七重ノ滝の一番上のところには野生の蘭が生えていて、それを取りに来た人が落っこちて、消防団で助けに行ったことがある」とか。過疎の地元にしたら、訪問者が増えるのはいいにしても、面倒も増えるということだろう。

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