八尾バルとは何だ
2018/3/17

近鉄大阪線河内山本駅のすぐ近くに住んでいたのに、そこから分かれる支線で信貴山口駅に向かうのは初詣のときぐらいだった。そのときもケーブルカーに乗り継いで高安山へ登っていったのだから、この駅で下車することはなかった。そんなことで、この駅を起点に八尾バルというイベントを組み込んだハイキングに出かけることにした。

信貴山の西の麓、河内平野を大和川が北行していたころも陸地だったあたりだから、山麓に古墳や遺跡が数多い。小高い山麓を南に向けて歩くのは、大和平野の上ツ道や山辺の道に近い感覚だ。ウォーキングのコースより低い位置に東高野街道が走っているから、それが上ツ道としたら山辺の道に相当するかも。少し高度があるから大阪平野が見渡せる。コース上にはお堂や神社が点在する。いや、コース上というより、コースから離れて東に登ったところに神社があると言うほうが正確か。権現社、岩戸神社、安養寺、恩智神社と続く。二つの神社はいずれも結構な登りだ。

恩智駅あたりで平地に下りる。国道170号外環状線を横切り、弓削神社に向かう。途中、外環状の道路脇に由義寺跡の大きな看板がある。これは最近立てられたものだ。法王道鏡と重祚後の称德天皇が長期滞在した由義宮の場所はここだったらしい。最近の発見である。天皇になり損ねた道鏡、歴史に if はないにしても、万世一系なんて1250年前に終わっていたかも知れない。

弓削神社から先は前にも歩いたことのある長瀬川沿いの歩道となる。大和川付替後に整備された用水路だけに、JR関西線に並行して真っ直ぐに進む。JR八尾駅の手前、関西線の踏切を渡ったところが、安中新田会所跡、旧植田家住宅だ。前に来たときは中を観なかったが、氷で冷やす旧式の冷蔵庫やテレビなどが残っているのが面白い。もちろん、それ以前、江戸時代の大和川付替により生まれた安中新田開発の頃のものがメインの博物館である。

さて、このハイキングのキャッチコピーにもあった「八尾バル」、チケットを買ったら格安で飲み食いできるのだろうと勝手に想像して参加したのだが、どうもそうではないらしい。JR八尾駅の構外の目立たない場所にチケット販売所があったので尋ねてみる。

「これて、どっかの公共スペースとか広場でやってるイベントとちゃうの」
「市内のイベント参加店で、いろいろ特別メニューを用意してるんです」
「せやけど、3000円でチケットを買うても、一日で回るのはしんどいやんか」
「昼間だけじゃなく夜のメニューの店もありますよ」
「こりゃあ、一人で来るもんやないな。残念やけど。それと、こんな目立たんとこで受付しててもあかんで、二階のコンコースに出さしてもろたらええのに」

今が旬の八尾の名物、若ごぼう、地元では「やーごんぼ」という言い方をしたりするが、最近では高知産をスーパーで見かけることが多い。私の大好物なのだが、若ごぼうの料理を肴にという目論見は潰えた。各メニューは割安料金でも、チケットを余らせたらどうしようもない。こんなことなら、よく調べてから来たらよかった。この日の収穫は旧植田家住宅で来週開催される「明治の鉄道遺産を訪ねるツアー」のチラシを見つけたことかな。

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