大和富士、再び
2018/6/2

もう14年も前のことになるか、生まれ故郷の榛原の北に聳える大和富士、額井岳に登ったのは。眺めのよい山だったと思っていたのに、再訪してみると樹木は伸びて南方の展望はほとんどなくなっている。案内板に書かれているものは何も見えない。森林限界を超えた中部山岳ならこういうことはないが、里山はこんなものだ。

近鉄のハイキングコースとして紹介されているのは南側の十八神社から登るルート、麓の山部赤人の墓などと組み合わせた周遊コースになっている。それは前回に歩いているので、北側から登ることにする。一般コースで歩いた記録はネット上に山ほどあるが、北側から登ったものは見当たらなかった。1/25,000地形図には破線の表示があるので、道らしきものはあるのだろう。もっとも、それがあてにならないのは何度も経験していることだ。ヘタをすれば藪漕ぎかも。

名阪国道を針インターで下りる。前に白バイが2台走っているので要注意だ。天城山に行ったときに伊東市街で御用となり検察庁まで呼び出された悪夢が蘇る。おっと、取り締まりではなかった。白バイは針テラスでの交通安全のイベントにやって来たようだ。ここはいつも多数のライダーが集まる場所、ツーリングの集合地点となっているから、こういう行事も企画されるのだろう。

吐山の集落から国道369号を離れて山に向かう。谷の入口にボーイスカウトのキャンプ場があった。はやまの森という呼称らしい。そこの駐車場に車を置く。10台以上の車が駐まっているので、中で訓練でもしているのかも。友人にボーイスカウト経験者がいるが、最近ではあの格好の子供をあまり見かけない。つきまとう軍隊の臭いが嫌われてるのだろうか、そういう時代なんだろう。

歩き出して2〜300mで林道が分岐する。右手の斜面には「松茸山につき立入禁止」とかの看板がある。メインルートは左のようだが、右をとる。南西方向に谷を詰めて稜線に達するだろうと思うが、最後まで道が続いているかどうかは何とも言えない。これは登山道ではない植林のための道だ。案の定、道は消える。どんどん傾斜が急になってきて、雨裂とも沢ともつかぬルートを辿る。下草も藪も足を取られるほどでないのが助かる。とは言っても枝に引っかかって顔面に引っ掻き傷、やっぱり藪漕ぎもどき。 

歩き出して小一時間、ようやく尾根に到達、道があるようでないような。念のため、往路を戻るときに備え長めの枯れ枝を集め降下ポイントの目印を作る。かなりの急斜面なので、あまりここを降りたくはないけど。

額井岳は榛原の町から眺めると「山」の字の形をしている。ピークが三つあるのだ。藪漕ぎを終えて尾根を進むと西側のピークに達する。道はやや明瞭になってくるが、よく踏まれた登山道ではない。香酔峠に連なる尾根筋だが、辿る人はいないのだろう。しばらく下りとなって中央のピークとの鞍部に到着。すると、額井岳かせ下りてきたおばさん登山者が一人、こんなところを歩く人もいるんだ。どこから登ったのだろう。十八神社への下り道を外したのかも知れないが、聞かれもしないのでこちらも余計な詮索はしない。所詮、山登りは自己責任。

額井岳の山頂には四阿があり、前に登ったときもここで昼食をとったことを思い出す。脇には四等三角点、測量の頃には見通しがよかったのだろう。生まれ故郷を眼下に見る大和富士のてっぺん、散骨地点として適当だなあと思っていたのに、眺めが悪くなったので考え直す必要かありそう。まあ、こんなことを言うヤツに限って長生きするものだけど。

十八神社のほうへは立派な登山道が付いているので、あやうく先の鞍部への尾根筋を外しそうになる。鞍部からは北に地形図にもある道が、意外にしっかりと付いているので、こちらを下ることにする。稜線に付けておいた目印は不要となる。何のことはない、しばらく行くと小型四駆なら走れそうな道幅に。これが登りはじめにあった分岐のメインルートだろう。頂上から1時間もかからず駐車場に到着。帰りに吐山のスズラン群落に寄ってみる。ここは南限の自生地。開花時期は5月中旬ぐらいまでだから、もう終わっているかも知れない。誰も訪れていない集落のはずれの群生地には、もう数株だけになっていたが清楚な姿があった。

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