多紀アルプスに登る
2018/11/23

カミサンがともだちと出かける予定なので、一日クルマが使える。となると山登り、どこに行こうか考えて、湖西の三国山と赤坂山にした。ところが夜の天気予報では近畿北部は雨も予想され雷もあるとか言っている。それじゃ、もう少し南にしよう。兵庫中部の多紀アルプスに予定変更、朝の5時過ぎには家を出る。この時間なら中国道の渋滞もないはずだが、別のルートにする。 大山崎インターから亀岡まで京都縦貫道を北上し、亀岡から篠山方面に国道372号を西に進む。これは速いうえに料金は片道610円で済む。新名神が延び、神戸から高槻経由で大山崎という経路が宝塚インター付近や阪神高速の渋滞を避ける抜け道になったが、山陰方面ならこっちのルートも使えそうだ。高速道路だけでなく主要国道の線形改良も進んでいる。

兵庫県内の中央分水界は多紀アルプスを通る。北は由良川水系、南は加古川水系。今回は多紀アルプス主峰の三岳と小金ヶ岳の鞍部のクルマを置いて、両山を往復するというプラン。JR福知山線石生(いそう)駅付近が日本一低い中央分水界で標高100mを切るが、この「大たわ」という名の鞍部は標高512mある。ところで、この文字はJISの漢字にない。偏は「山」、旁は「定」、Photoshopで合成して地図には注記したが、本文には書けない。地名として存在する漢字についてはコードが網羅されているはずなのに、こんなこともある。近くに筱見(ささみ)四十八滝というのがあり、この「筱」も他ではお目にかかれない漢字だが、こちらにはコードが付いている。でも、道標の文字が「篠」になっていたりするのがご愛敬。まあ意味は同じだけど。

ほとんど駐車しているクルマもない時刻、さっそく三岳への登りにかかる。山系の最高峰といっても793mだから300m足らずの登りだ。階段状の急な山道を過ぎたら頂上までわずか、峠から40分もかからない。頂上には石造りの避難小屋かと思えば祠、昔は修験道の山だったらしい。南に篠山盆地が広がる。まだ朝も早いので頂上に登山者の姿はない。

あっさり三岳(御嶽)登山は終了、鞍部まで引き返し反対側の小金ヶ岳を目指す。はじめは植林の緩い谷筋、こんな道が続くのかと思ったら違った。725mと三岳より少し低いのだけど、途中に小さなピークが二つある。これがけっこう難物だ。そうか、アルプスなんて言うのはここの岩稜のことだったのか。

振り返ると三岳の山稜、足許には鎖が張られた岩場、三岳の登りよりも時間がかかる。後ろのほうから登っている姿が見えたオジサンは、こちらが山頂で長居していても現れない。どうしたんだろう。落ちるほどの危険な岩場じゃないのに。さては、きついので途中で断念したか。

こちらの山頂にも三岳と同様の大きな切り株状の山名表示盤がある。三岳ではその山名表示部分はなくなっていたが、こちらには残っている。南の六甲山、東の愛宕山、北の長老ヶ岳、西は先ほど登ってきた三岳、そのあたりの山名ならともかく、他は馴染みのない名前が多い。山容にしても特徴的なものはないので同定も難しい。山は連なっているがその間に盆地も点在するので、山岳というよりも丘陵に近い感じだ。往路で亀岡から篠山に抜けたときも、峠を越える感覚は希薄だった。そりゃそうか、あれは府県境ではあっても国境じゃない、ずっと丹波国なんだ。篠山市は丹波篠山市と改名することが決定したようで、隣接する京丹波町と黒豆の覇権争いが熾烈になるかも。

小金ヶ岳山頂からの北方の眺め (ダブルクリックすると拡大しスクロール、クリックでもとに戻る)

二つの山に登ってみると、眺めのよいのは同じでも小金ヶ岳のほうが歩いていて断然面白かった。危ないので下りはストックをたたんでリュックに着ける。鞍部に近づくころ、小さな子供を二人連れたお母さんとすれ違う。「上は鎖場が続くから気をつけてくださいね」と声を掛ける。経験のある山ガールのようだから大丈夫だろうけど。

小金ヶ岳の登り口一帯はフォレスト・アドベンチャーという施設になっている。フィールドアスレチックの上級版というところか。植林の杉の間にワイヤーが張り巡らされている。ハーネスを着用してスライダーに興じている人の姿も見える。最近あちこちに出来ているらしい。入口の看板に書かれたお値段を見てびっくり。全コースを回ると4000円、保守点検や安全確保のために係員を張りつけているからそうなるのだろう。施設は山の中にあるわけで、天候にも左右される。週末ならともかく採算がとれるだけの集客があるのだろうか。ここで遊ばせるよりも、ちょいと登ればスリリングな無料の鎖場があることを知っている件のお母さんはなかなか賢明ということか。

往路は北側からクルマでアプローチしたので、復路は南へ下る。どちらも同じような距離、林道を走り慣れている自分にとっては立派な峠越えの道に見える。下山後の温泉は亀岡郊外の湯ノ花温泉、国道沿いの京都烟河という施設に立ち寄る。ランチバイキングが人気のようで、ずいぶん盛況だ。日帰り入浴700円のお風呂は大したことはないが、洗い場の床が畳なのはいい。風呂上がりの牛乳も家の近所のスーパー銭湯よりも安いぞ。朝早く出たので昼過ぎにはもう露天風呂、京都縦貫道を通ると帰りの渋滞も回避だ。

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