藤原歌劇団「マクベス」 〜 これは、ヴェルディの指示どおり
2001/2/3
 
 東京文化会館での藤原歌劇団の公演。東京転勤から間もないので、チケットは事前に入手しておらず、当日D席6000円。うーん、普通なら最安席なんだけどなあ。これからは、がんばるぞお。ふふふ、何てったって東京、NY並みのオペラシティだもの。
 
 ダブルキャストの裏の日で、テノールも当初予定の佐野成宏から中島康晴に変更となっており、どんな感じかなとは思いましたが、全般の出来はとても良いものでした。
 折江忠道のマクベスも良かったのですが、下原千恵子のマクベス夫人が出色。ドラマティックな歌唱で、ヴェルディの指示どおり、場面によってはベルカントから逸脱する歌唱で極めて効果的でした。「何しろ、ここは汚い声で歌うように」とかの指示があるとか。私はスコアを見ていないので、確かめたことはありませんが…。
 たとえば、国王就任後の宴席でのシーン、マクベスが亡霊を見て動揺したあとの乾杯の歌、下原マクベス夫人は、2コーラス目を全く違う暗い発声で心理のあやを見事に出していました。声も強靭で日本では例を見ないドラマティックソプラノだと思います。
 佐野成宏と入れ替わった中島康晴は初めて聞く名前ですが、声に魅力があり、これからの人のようです。ただ、音域によって胸で押しつぶしたような声になるところがあり、矯正する必要があると感じました。素材としては、とても楽しみな人です。
 
 ローマ歌劇場から持ってきたというヘニング・ブロックハウスの演出、ヨゼフ・スヴォボタの装置・衣装については異論もあると思いますが、私は肯定的に評価します。
 極論すれば、舞台上には巨大な布があるだけで、その形を変えたり、スライドを投影するだけの抽象的な舞台でしたが、これが暗い心理ドラマの背景としてマッチしていたと思います。
 出演者もドラマの流れに沿った歌唱(これがきちんとした上演は意外なほど少ない)で、統一感と緊張感が最後まで途切れることがありませんでした。
 
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