デプリースト/東京都響のバルトーク ~ 異形の指揮者
2001/2/20

変わったプログラムだなあと思って、帰りにふらっとサントリーホールに寄ってみた。ここは、以前に勤務していたオフィスと目と鼻の先、あのころも帰りによく覗いてみたものだ。

ジェイムズ・デプリーストという指揮者の名前を聞いたことはなかった。登場した人物を見てびっくり。両手に持った杖をつきながら指揮台に歩み寄るのは大柄な黒人だった。歌手なら何人もいるが、黒人指揮者を見たことはない気がする。成人後に小児麻痺を患った後遺症ということのようだ。

舞台裏のPゾーンなので指揮者と対面、指揮ぶりがよく見える。当然、この人は座って指揮をするのだが、それでも大きいから、オーケストラのメンバーは充分に見えるのだろう。身振りは体に似合わずに控え目で、大げさなところはない。

しかし、鳴り出す音楽は生気がある。一曲目のガーシュウィン「キューバ序曲」は、もともとそういう曲想なんだろうが、なかなか楽しい。二曲目のグリエールのホルン協奏曲変ロ長調(ソロはラデク・バボラク)という曲、私は初めて。最後が、バルトーク「オーケストラのための協奏曲」、かなり抑制の効いたオーケストラの鳴らし方のように思えた。私には馴染みのない曲ばかりだったので、比較のベースが見あたらず、何とも言えないところも多いコンサートだった。

いろんな指揮者がいるものだ。東京だけでプロのオーケストラが7つ、それぞれに何人かの指揮者を抱え、海外からの客演も多い。レコーディングがある指揮者というのは、ごく一部ということを実感する。商業ベースに乗らないだけで、その他大勢の中にもきっと素晴らしい才能がいることだと思う。

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