「夜鳴きうぐいす」「王女様の誕生日」 ~ シリーズに復帰!
2001/2/28

東京フィルのオペラコンチェルタンテ・シリーズは、以前の東京勤務時代から通っている。大阪に7年近くいた間も会員を継続していた。もちろん、その間は東京にいる友だちにチケットをあげることが多く、自分自身が行くのは久しぶり。東京出張のときに聴いた「無口な女」以来となる。

いつもの天井桟敷最後列センターの私の席に座ると、ここは、特に声楽とオーケストラとの混ざり具合がいい。サントリーホールや新国立劇場を凌ぐ。

ストラヴィンスキーの「夜鳴きうぐいす」(または「ロシニョール」、「ナイチンゲール」)、堺市民オペラで観たのが日本初演だったかどうか忘れたが、あれがとりあえず再現第一なら、今回はずっとこなれていたし、やはり歌手の層が東西では全然違う。

佐藤美枝子さんはムラのない声で、大きくないがクリアでよく通る。メルヘン的なお話なので、やはり舞台があった方が楽しめると思うが、無いものねだりを言っても仕方ない。高橋薫子、鳴海真希子、伊達英二、福島明也という共演者。

ツェムリンスキー「王女様の誕生日」は、ワーグナー風のオーケストレーションで、前半のストラヴィンスキーと編成がほとんど変わらない割には、厚い響きです(ストラヴィンスキーは室内楽的なクリアさがある)。どちらもギター、マンドリンが加わる。

こちらのドラマも童話を題材にしたもので、「サロメ」を書いたオスカー・ワイルドの手になることからも想像できるように、ツェムリンスキーの作品は、重く、暗く、醜悪さも感じさせるものだった。

主人公の小人役の福井敬さんは、日本初演作品でもあり、相当準備したような感じで、声も極めて好調。王女の菅英三子さん、侍女の高橋薫子さんも悪くない。

やはり、このオーケストラはオペラのバックでは冴える。東京交響楽団の腑抜けたようなヴェルディを最近聴いていただけに、大違いだ。定期会員の友人によれば、東京交響楽団は現代ものに真骨頂があるとのこと。確かに、だいぶ前の秋山和慶指揮の「モーゼとアロン」は、よかったなあ。

今回、指揮台に立った沼尻竜典さんは、びわ湖ホールのブリテン(「小さな煙突掃除夫」)以来。大野和士さんの後任としていい人を迎えたと思う。スペシャル・アーティスティック・アドバイザーとして登場する予定のチョン・ミョンフンがどんなものか。今度のマーラー「復活」待ちだが、パリオペラ座バスティーユで観た最後の「シモン・ボッカネグラ」がそれほどでもなかっただけに、果たして…

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