フムーラ/東京都響のマーラー ~ ホールの問題、先入観?
2001/3/30

以前7年間、埼玉に住んでいたので、都内ターミナルの池袋には土地勘があるほう。メトロポリタンプラザの上階にあるHMVにはよく立ち寄ったものだ。輸入盤のオペラが作曲年代順に並べられているのを見て感動したのは、ここのHMVだった。クラシックコーナーは広くて空いていて、変わっていないなあと思いながら、コンサート開演前のひとときを過ごす。

東京都民なら割引になるというコンサート、住民票も移していない私なのに、東京芸術劇場の事務所であっさり都民価格で購入した。プログラムは次のとおり。

 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
   矢部達哉(ヴァイオリン)
 マーラー:交響曲第4番ト長調
   緑川まり(ソプラノ)
   ガブリエル・フムーラ指揮 東京都交響楽団

いつも安い席で聴くせいかも知れないが、この東京芸術劇場では音響的な満足感を味わえない。3階席が真ん中で二つに枝分かれして、その後ろのほうだとどうも具合が悪い。諏訪内晶子さんを聴いたときもそうだったし、今日の矢部達哉さんも遠くで鳴っている感じ。オーケストラ全体も遠いから、ソリストの問題ではないのだろう。

矢部さんの音色は美しいのだが、やや線の細さを感じるときがある。コンサートマスターがソロを務めるコンチェルトということもあるのだろうか、オーケストラとの緊張感が希薄なようにも感じる。そういう目で、耳でいるからかも知れない。

さて、後半、お目当ての緑川まりさんをソリストに据えたマーラー、ブリュンヒルデを歌うソプラノがこの終楽章の歌を歌うというのはあまり聞いたことがない。緑川さんは、色々な役柄に挑戦している人で、言語にしても独・伊・仏・露と多彩だし、時代的にも19世紀のものから現代のものまで歌っている。勉強家なんだろう。

やはり、正直なところ、違和感はあった。リリコ・レッジェーロの声で聴き慣れているせいもある。耳を虚心(?)にして聴くということは難しいようだ。

転勤が決まって、さっそく定期会員になった東京都響、これからのシーズン、どんな演奏を聴かせてくれるのだろう。

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