秋山和慶/東響/細川俊夫とマーラー ~ おっと、ロイヤルコンサート
2001/3/31

満開の桜になごり雪という、風情のありすぎる光景となった年度末の土曜日、花見の心づもりが崩れ、掃除と洗濯、図書館に本とCDを返して借りて、といういつもの週末パターンとなる。ついでに、髪が伸びて来たので東京で初めて散髪に行ったのはいいが、やたら首筋が寒くなって…。店が空いていたのも当然か。

前夜の久米宏のニュースで赤坂の桜を映していたが、夕方から花見じゃないが、冷たい霙の中、そのテレビ朝日まで出かける。と言っても、隣のサントリーホールが目的地。

転勤になる前に買っていた22日の大阪フィルハーモニーの定期演奏会のチケットは人に譲ったが、同じ曲目をオーケストラだけ東京交響楽団に替えての定期演奏会があった。メインとなるマーラー「大地の歌」は同じだが、もう一曲は大阪ではモーツァルトのリンツ交響曲。東京では最近人気の日本人作曲家、細川俊夫のハープ協奏曲「回帰」(新作初演)という内容。

吉野直子という確かCMにも出ているハーピストがソロを受け持つ新作は、まあこんなものかという感じ。オーケストラの後ろの席だったのでオペラグラスで奏者の楽譜を見ると、何だかややこしそうだなあという感じ。

プログラム後半の大地の歌では、歌手の背中で聴いても仕方ないので、休憩時に2階LDゾーンの空席に移動。アルトの秋葉京子さんの歌が素晴らしかった。最終楽章はまさに絶唱という感じ。それに引き替え、ペーター・スヴェンソンというテノールは声もないし今ひとつ。まあ、賑やかな楽章で大編成のオーケストラを背にしてだから、同情の余地もあるが。

この夜のコンサート、入場直後、パイプオルガン下のPゾーンに向かおうとしたとき、廊下ではなく客席通路を通ってほしいと言われいぶかしく思っていると、開演間際になり15mほど離れた席に座ったのは、何と皇后さま。警護とおぼしき人は何人か見受けたが、意外に少ない人数だったし、SP然とした服装でもなかった。しかも席自体が中央でも何でもなく、RBゾーン2列9番というほとんど舞台の横に近いSランクでも末席という位置、区画的に独立性が強く警護しやすいという事情もあるのだろう。テレビの取材も入っていたので、特段のアナウンスはなかったものの、気が付いた人は多く、拍手が起こった。

私が感心したのは、プログラムが終了し、ソリスト・指揮者(秋山和慶)が何度も拍手に応えて出入りする間はおろか、拍手が終わりオーケストラのメンバーが半ば退場するまで皇后さまが席に座っておられたこと。もちろん、その時には既に席を後にした聴衆も多く、腰を上げられた皇后さまに私も思わず立ち上がって拍手してしまった。

些細なことかも知れないし、当たり前の礼儀と言ってしまえばそれまでだが、この方の人柄を感じた次第。後日に聞いた話では、皇后さまはもともとハープをやっておられたとのこと。それで、この演奏会に来られたのかと何となく納得(私は皇室アルバムを見ているわけじゃないので)。

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