フルネ/東京都響/ベルリオーズ ~ 季節もの?「夏の夜」
2001/6/11

公演のチラシ

「夏の夜」を歌う浜田理恵さんは、びわ湖ホールでヴェルディの主役で聴いた。「ドン・カルロ(イタリア語5幕版)」のエリザベッタ、「ジョヴァンナ・ダルコ」のタイトルロールで、いずれも日本初演。でも、ご本人はフランスものが得意とか。これはこの日のプログラムで初めて知った。フランスで勉強して、あちらでの活躍しているようだ。私が、たまたまヴェルディを聴く巡り合わせになったということか。

本人へのインタビューでは、「私の声は、ドイツ語よりもフランス語、それも近現代の作品に合っていると思います」と書かれていたが、ドイツ語の方は聴いたことがないにしても、母音に重きがあるラテン系の言葉の方に良さが発揮できるのは頷ける。ソプラノにしては低い音域にも魅力がある。真性のヴェルディ・ソプラノとは言えないが、びわ湖ホールで聴いた軽いとは言えない役柄にも適性があるのが判る。

まろやかな声。軽やかさと情感がほどよくミックスされた歌だ。第1曲「田園詩」の出だしの素敵なこと、管楽器の上にふわっと歌が乗ってくる感じ。伴奏と言うにはニュアンスのあるフルネ/都響のバックだし…。

全6曲、時間にして30分程度の「夏の夜」が、間違いなく、この日のメインプログラムだろう。これを挟んで前に「運命の力」序曲、後に幻想交響曲。ベルリオーズの二つの作品はともかく、前にヴェルディを置くのは、ちょっと変わった構成だ。でも、これが良かった。フルネ=フランスものという固定観念は誤り、この人のヴェルディは聴かせる。音のバランス、テンポの自然な動かし方、コンサートホールでしか聴いたことのない人だけど、劇場でのキャリアも充分、当たり前と言えば当たり前。

休憩後の幻想交響曲は十八番のレパートリーなんでしょうが、どうもこの曲のあざとさが好きになれない私、休憩の間に帰ったほうがよかったかな。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system