藤原歌劇団「イル・カンピエッロ」 ~ うわあ、真夏の長い一日
2001/7/28

とんでもない長い一日になった7月28日だった。

午前1時、越後湯沢駅前。Fuji Rock Festivalに大阪から前夜の夜行列車で来た長男を迎えに、東京からレンタカーで。アーティストの名前を聞いても判らないが、この夜のトリがお目当てだったらしい。23:30にコンサート終了。午前中から延々12時間とは、若者でないと無理だなあ。二万人の人出とか、苗場スキー場から着くシャトルバスからなかなか長男が現れない。そして、水上高原プリンスホテルへ。社内にあった優待券で、一泊朝食付き6500円也。

午前8時30分。眠いが朝食を食いっぱぐれてはならじと起床。越後湯沢まで逆戻り。長男は駅構内のコインロッカーに荷物を預けたのはいいが、夜間は駅が閉鎖、またトンネル通って新潟県に逆戻り(高いロッカー代だこと!)。

午後1時、幡ヶ谷に。いくら土曜の上り(道は下り坂)関越道とは言え、最高145km/hで、よくつかまらなかったもの。新潟から東京まで2時間とはねえ。

そして、午後3時、新国立劇場(中劇場)。やっと本題、ヴォルフ=フェラーリのオペラ「イル・カンピエッロ」。もちろん観るのも聴くのも初めて。チケットは数日前に掲示板で入手。そのあと長男が来るということになり、こりゃ無理かなと思っていた。そこはド根性言うか…。今度は長男に、お前が待つ番と、きっちり出かける。

多数の登場人物紹介が中心の第一幕では、さすがに疲れから意識が消えそうになったが。第二幕で、俄然ドラマが動き出し、第三幕の大団円はとても素晴らしかった。無理して行ったが、「当たり」。

レアもの、10人ほどの歌い手が、同じようなウェイトのアンサンブルオペラなので、よく練習していたと思う。春先に新百合ヶ丘で、若手歌手の試演があったときには行きそこねたが、メインキャストは流石。

このオペラのほんとうの主役はヴェネツィアという都市(その小さな広場)。このあたり、同じ喜劇の系譜にあるプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」の主役がフィレンツェという街であることと一脈通じるものがある。自分はヴェネツィアには一晩だけ泊まって、街を歩き回ったことがある。ここは、動くためには、船か二本の足かしかないところで、曲にも街の雰囲気がとても良く出ている。

唯一の美しい終幕のアリアを歌うのが、砂川涼子さん。最後のアンサンブルを背景に、この歌は感動的だった。

1936年の作曲というから、新古典派系なのかも知れないが、その判りやすさにびっくり(オーケストラは結構厚い)。大騒ぎの場面では、突然レスピーギの引用なんかもあって、ニヤリとする。「スザンナの秘密」や「マドンナの宝石」間奏曲以外は聴いたこともないヴォルフ=フェラーリだが、とても興味を持った。これじゃ、今度の来日ワシントン・オペラでやる、この作曲家の「スライ」(ホセ・カレーラス主演)のチケット争奪戦に参戦する羽目になりそう。永竹由幸氏の詳細な解説が載っていたので、終演後に珍しくプログラムを買った。

さらに、このあと、長男を連れて文京シビックセンターの展望室からの隅田川花火大会見物、幡ヶ谷チャイナハウスにて親子で最高の中華、そして当然のことながら、爆睡。

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