井上道義/新日本フィル「死の都」 ~ なんだか不吉な巡り合わせ
2001/9/15

すみだトリフォニーホールでの新日本フィル定期演奏会、井上道義指揮によるコルンゴルト「死の都」、セミステージの上演。数年前に井上氏が京都市響で日本初演をしたそうだが、その時には大阪にいたのに聞き逃した。今回は東都初演ということのよう。インターネットのチケット掲示板で入手して出かける。譲っていただいた方と、これを機にメルトモになってしまった。

井上氏が京都での初演を構想したあとに神戸の震災、そして東京のときはNYの厄災、オペラのタイトルではないが、なんだか不吉なものがある。

一階中央で入口のそば、前が通路なので人の頭が邪魔にならず、いい位置だ。ただ、オーケストラは視覚的には重なってしまうので、各奏者を見る楽しみがないのが残念。

最近、閑な割に私は疲れ気味。第一幕、第二幕とも途中で意識不明状態となる。メルトモNさん曰く、Rシュトラウス+プッチーニ、なかなか言い得て妙という感じ。サロメの例の踊りを思い浮かべるようなシーンや、ボエームのカルチェ・ラタンの雑踏を彷彿とさせる音使いとか…。ヒロインはミミ&ムゼッタという性格で、ボエームそのもの。

しかし、心理劇を延々三時間というのは、ちょっと私にはしんどかった。やはり日本のラテン、大阪の人間にはちょっとこの世界はついていけないなあと感じた次第。そう言えば、私の大好きなオペラ、これまで聴いたベスト10とかには、ドイツものは一つも入らない。やはり、感性が合わないということか。

劇場でワーグナーの五時間ものを聴くのは、ほとんどビョーキかマゾの世界のような気がする(と言いながら安けりゃ行くが)。同時代でも、ヴォルフ=フェラーリとか、ダッラピッコラとか、メノッティを聴いても、あまり違和感はないのだが…

テノールのルドゥハ氏は、(PAを使っていたらしいが)声が出ていなかったし、好みではない。中丸美千繪さんは、ナマで初めて聴いたが、こんなものかという印象。もっとスピントな声でないと、この役は無理だろう。彼女はフランスものに活路を見いだすしかないのかなあ。井原秀人さんは大阪で何度も聴いているいいバリトンだが、今回の出来はよくなかった。歌手は総じて(永井和子さんを除き)いまいち、しかしオーケストラはさすが。13日、15日という日程で、中一日というのは、この曲ではちょっと歌手にキツイのかも知れない。

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