新国立劇場「ナブッコ」 ~ 叙事オペラのはしご
2001/11/6

公演のチラシ

大津で聴いた「アッティラ」から日をおかず、こんどはご近所で「ナブッコ」。奇しくもヴェルディの初期作品、しかも題材が叙事的なものが重なるという偶然。続けて観ると、両作品の類似点や相違点がよく判る。

前者は日本人のみのキャスト、後者は次のように、外国人中心のキャストという違いもある。

アレクサンドル・アガーケ(bar)、ハスミック・パピアン(sop)、ミハイル・キット(bs)、市原多朗(ten)、日野妙果(ms)、パオロ・オルミ指揮の東京フィルハーモニー交響楽団、新国立劇場合唱団・藤原歌劇団合唱部、演出はアントネッロ・マダウ=ディアツ。

ナブッコを歌ったアガーケは、評価が割れていたようだ。歌と声の量感では文句なしでも、ヴェルディの歌唱スタイルかというと…。特に初期作品では、イタリアの匂いがしないとダメという人もいるだろう。私は全然気にならず、楽しめたのだが。

アビッガイレのパピアンの歌は凄かった。若くて荒削りのところもあるが、声の訴求力は充分。この役は何と言ってもパワーが必要だ。

市原さん、やはり第一人者かなあ。この数年、私が聴いた舞台はいまいちの連続だったが、これは良かった。非の打ちどころなし、世界のどこに出しても通用する。「ナブッコ」じゃ出番も少ないから、即断はできないが、復活だと嬉しいなあ。

さて、合唱ではびわ湖ホールの圧勝というところ。この「ナブッコ」では、有名な"Va pensiero"は素晴らしい出来映えで聴かせたが、それに集中しすぎたかな。

作品自体は、「アッティラ」が後の時代のものだけに、音楽全体の充実度は増している。その差がよく判る。今回のナブッコの歌手陣で、アッティラをやったら、もっと凄い演奏になっただろう。

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