昭和音楽大学「ドン・パスクァーレ」 ~ これは傑作ブッファ
2001/11/11
昭和音楽大学のオペラ公演、ドニゼッティの「ドン・パスクァーレ」、場所は新国立劇場の中劇場。
ドイツからの外来オペラに目もくれず、このチケットを買うのは変人と言えるかも…。お値段も3000円とお安くて、ドイツ勢とは桁が違う。でも、これは正しい選択だった。藤原歌劇団の裾野に、こういう活動があるという感じ。
夏の「イル・カンピエッロ」は、昭和音楽大学と藤原歌劇団の公演がオーバーラップして(スタッフは共通のはず)、後者の公演のレベルがあったと思う。
新国立劇場の中劇場はごまかせないところだ。演奏の良いところも悪いところもストレートに伝わってくる。
相当に準備を積んだと思われ、アンサンブル、演出(ロレンツァ・コディニョーラ)は秀逸。個々の歌手は、どの人も私の好みとは少し違うが、ノリーナの葛貫美穂さんは優秀。あの有名なアリア「騎士はあの眼差しで…」を、カウチに横たわって歌い始めたのには驚く。このアリアにも、すごく細かい演出をつけていたので、床に寝ころんだり、あちこち動き回ったりと歌手には酷な感じ。それでも全く破綻なく歌いきったのは相当な実力だろう。これも中劇場だからできることかも知れない。なかなか楽しめたブッファだった。
題名役は岡山広幸、医者のマラテスタ(「頭痛」:日本語なら「藪医者」というところか)は松尾俊哉、エルネストが藤原海考。
このオペラ、もちろん実演に接するのは初めてだったが、これは「愛の妙薬」を凌ぐドニゼッティの傑作だと再認識した。