ヴェロ/東京フィルのフランス・プロ ~ これが同じオーケストラなのか!
2001/12/8

公演のチラシ

オーケストラのコンサートを聴いて、憤懣やるかたないことはたまにある。しかし、その日の演奏自体でなく、別のことでというのも珍しい。
 東京フィルハーモニー交響楽団というのは、正体不明のオーケストラだ。団員の顔や名前を覚えている訳ではないので、断定は出来ないが、どうやら、一軍と二軍があるもよう。もともとの東京フィルと新星日本交響楽団が合併したオーケストラだから、ふたつ分のメンバーがいるはず。合併に伴うリストラが行われ、下手な団員が首を切られたという話も聞いたことがないので、単純に1+1=2なんだろう。

さて、ここからが問題。極端なケースだと、東京都内の二か所で、同時に東京フィルが演奏することがある。こうなると、どちらかが一軍で他方が二軍ということに。下手くそな管楽器奏者が何人かいるので悪い方はすぐ判る。
 オーケストラの活動の柱は定期演奏会なので、大体はそちらに主力メンバーが投入されていると想像できる。このパスカル・ヴェロ指揮の定期演奏会が一軍、新国立劇場「ドン・カルロ」のピットに入っているメンバーが二軍だろう。
 例えば学校行事の名曲コンサートあたりのお座敷なら誤魔化しも可能だろうが、「ドン・カルロ」ではあまりに荷が重い。長大な作品だし、スコアもしっかり書き込まれている。二軍の手に負える作品ではない。両方の公演を聴いてみると、素人の耳にもその差が歴然。これは、あんまりだ。

そもそも、無理に多くの仕事を入れるのがよくないとも言えるが、もし、そんなふうに定期演奏会とオペラ公演を振り分けているとしたら、大きな考え違いだと思う。定期演奏会は2回、一方の「ドン・カルロ」は5公演だから、単純計算でも聴衆は倍以上、もちろんオペラに来る客がオーケストラの演奏に耳をそばだてている訳ではないにしても、歌を聴きに来てオーケストラの魅力を知る人がいるはずです。そんな可能性を端から無視したシフトでは、定期演奏会の客席を埋めることなど夢のまた夢ではないかな。

いやあ、そんなことで、このフランスもののプログラム、次のような曲目だったが、サントリーホールでの演奏を味わうよりも、新国立劇場での演奏への怒りが蘇ってしまった。

イベール:「寄港地」~3つの交響的絵画
 デュティユー:ヴァイオリン協奏曲「夢の木」
   オリヴィエ・シャルリエ(ソロ)
 ドビュッシー:「海」~3つの交響的素描
 ラヴェル:「ラ・ヴァルス」

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