新国立劇場「ヘンゼルとグレーテル」 ~ またしても歌姫に遭遇
2002/1/10

年末、会社帰りに先輩と新宿で軽く一杯飲んだあと、南口を京王新線の方に向かっていたら、逆方向から見たことのあるような人が…。目で追っていると、あちらも気づき、大きな目をさらに大きくして。岩井理花さんだった。聞けば「ヘンゼルとグレーテル」の稽古の帰りとのこと。なるほど、年末年始は休みになるだろうし、もう舞台稽古かな。広い東京なのに、不思議なこと。前にお会いしたのは演奏会の当日券売場だったけど、こんなに人が多い新宿で…。

公演のチラシ

さて、「ヘンゼルとグレーテル」の初日10日に行ってきた。会社を出るのが遅れ、開演ギリギリに駆け込むことに。何だか、いつもと客席の雰囲気が違う。子どもが多い。親子連れがけっこう目につく。ファミリー割引をしていたせいかな。
 でも、これって子ども向きなんだろうか。確かに童話だし、舞台でも天使が空を飛んだり、お菓子の家もでてくる。その一方で、音楽はワーグナー並の大オーケストラ。まあ、あんなに長くはなく、18:30開演で25分の休憩を挟んでも、20:45に終演だったけど。

観たことがあるようで観ていない、私は初めて接する作品だ。率直な印象は中途半端な作品だなあという感じ。大人向きでも子ども向きでもない、メルヘンかと言うと、そうとも言えないような。

主役二人は好演だった。林美智子さんと高橋薫子さん、声に魅力があるし、言葉もクリアだ。二人の声が溶け合うような感じのデュエットは、ほんとにきれい。日本語上演だということを知らず、最初はエッとびっくりした。ドイツ語はわからないので、私にとっては日本語でも大差ないが、やはり日本語の歌詞とメロディの違和感は随所に感じられる。

両親役の平野忠彦さんと郡愛子さんはいまいち。特に郡さんは、日本語なのに何を言っているのかさっぱりわからない。岩井理花さんが演じた眠りの精、澤畑恵美さんが演じた露の精、ともに出番は短かくて残念。売り出し中の澤畑さんの真価を感じるところまでに至らず。そして、岩井さんの舞台姿は相変わらず美しい。魔女役の森公美子さん、ほとんどコメディアン、演技で客席を沸かせてはいたが、歌手としての力はないという印象だ。

今回は再演、メルヘン的な舞台は良くできている。この作品、また観ることがあるかどうか。よほど出演者に惹かれることでもなければ、という感じだなあ。

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