沼尻竜典/東京フィルのワーグナー ~ 新国立劇場のリベンジ?
2002/2/3

寒い週末だった。帰省しない週末はアウトドアが多いが、さすがにこの天気では。奥多摩にでもと考えていたのだけど…
 先週は体調も悪く、風邪もひいたし、おとなしくしているのが一番。それで、ふらっと出かけたのは東京芸術劇場。東京フィルのサンフォニック定期演奏会。沼尻竜典指揮なので、金曜日のプゾーニと立て続けになる。今日はワーグナー・プロ、ソロは緑川まり。

公演のチラシ

これは、当たり、東京フィルでは久しぶりかなあ。。NHKホールではベルリン何とかがやっている裏にしては8割の入り。こりゃ、ふつうの定期演奏会以上、日曜日、池袋とくれば、埼玉・群馬のファンが来るのかしらん。

前半は「さまよえるオランダ人」の序曲とゼンタのバラード、「ローエングリン」の序曲と第三幕前奏曲、「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲と愛の死。後半は「ニーベルンクの指輪」オンリー。ワルキューレの騎行、森のささやき、ラインの旅、葬送行進曲、ブリュンヒルデの自己犠牲という内容。

緑川さんは、予想以上の出来。ワーグナーが合っているのかな。昨年は何回か聴いたが、声域によって声が荒れた感じがあったり、ヴイヴラートが気になったりと印象はいまひとつだったが、今日はとてもいい。全然力んでいなのに、すっと声は抜けている。復調かな。イゾルデ、ブリュンヒルデ、いずれも素晴らしかった。沼尻さんのすっきりしたオケの鳴らし方もあるのかも。

森のささやき以降のオーケストラが特に良かった。それまでは、いつもどおりホルンや木管に「くそっ!」というところはあったけど…
 うがった見方をすると、新国立劇場から降ろされた「ジークフリート」と「神々の黄昏」で東京フィルが意地を見せたという感じ。あれだけ下手くそだった木管が森のささやきで頑張ったこと。やれば出来るじゃない。
 要は長丁場を持続出来るかどうかなんだろう。きっと良いオーケストラは体に染みついていて、力を抜いてもそれなりの演奏が出来るということか。東フィルはまだその域には。

こんな日に出かけて、つまらない演奏だとガクッとくるところだけど、今日はちょっと元気になった。

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