小松長生指揮/東京フィル「チャイコフスキー5番」他 ~ この人が武闘派!?
2002/2/16

確かに、今年になってからの東京フィルは、ちと違う。昨年暮れのドンカルロの酷評が相当こたえたのか。今月のワーグナー・プロといい、ファウスト博士といい、上げ潮。このコンサートも、それに輪をかけたような熱の入った演奏だった。怒りにまかせて、来シーズンの定期会員更新を止めたのは、ちょっと早まったかなあ。

公演のチラシ

メインのチャイコフスキーの第5交響曲、小松さんの指揮、私は結構気にいった。ともかく快速、この曲にありがちなベタベタしたところ一切なし。私は若い頃のマゼールがウィーン・フィルと録音した交響曲全集が好きで、三十年以上も前のものですが、未だにお気に入り(特に第1交響曲の素晴らしさ)。それを彷彿とさせるものがある(あのころのウィーン・フィルの音色と比べちゃいけないが…)

小松さんは何もしないようでいて、オーケストラケを結構その気にさせるところが、あるんじゃないだろうか。この人、指揮者には珍しい東大卒なんだ(評論家には多いが)。福井県出身ということは藤島高校卒かな(どうでもいいことだけと)。

細川俊夫の「プレリューディオ」、演奏だけをとればこの日の一番かな。これは、よく書けた作品だ。あちこちで採り上げるのも判る。そんなに数を聴いた訳ではないが、出世作が代表作なんてことにならないでほしいもの。もっとも、私はマスカーニの他の作品も好きだけど。

2曲目のリヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲、舞台脇RAの位置ではソロの音がちょっと遠くて今ひとつ。もともと、ダナミックレンジは大きくない楽器だし。非常に長いソロ、とても上手なことは、よくわかったんだけど…

最近図書館で借りたリチャード・オズボーン著「ヘルベルト・フォン・カラヤン」という上下二巻の大著、今日ようやく読み終えた。この日のソリスト、ハンスイェルク・シェレンベルガー氏はサビーネ・マイヤー騒動に端を発するカラヤン最晩年のベルリン・フィルとの抗争の一方の当事者だったもよう。ヘルムート・シュテルン(この人には「ベルリンへの長い旅」という興味深い著書あり)とともに、反カラヤンの中心人物と、この本で知った(もちろん、プログラムにはそんなこと何も書いていない)。

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