新国立劇場「ウエルテル」 ~ いいなあ、サバッティーニ
2002/2/24

公演のチラシ

2月24日、新国立劇場「ウエルテル」の二日目。初日にご覧になった方の感想を読んで、大阪から遠征して来た友達と二人、期待をもって出かける。以下は、最近発売の一太郎12(ATOK15)の「話し言葉関西モード」を駆使したもの。

第一幕の後。

「眠となってしもたわ。始まる前にコーヒー飲めへんかったからかな」
 「昼にご飯のお代わりしたからですやん。私も半分寝てましたわ。サバッティーニが出てきて、目え覚めましたけどね」
 「妹役の人、ええ声出してるやん」
 「私のメル友Nさんも、そうゆうたはりましたわ」
 「あのバリトン、何とかならんかいな。前にもなんかで聴いたような気がするけど」
 「去年のマノンで聴きましたやん。ほんま、あきまへんなあ。私はレポレッロも聴いてますけど、なんで契約するんやろねえ。もう勘弁してほしわ」

1987-1988シーズンにニューヨークにいたとき、クラウスのウェルテルを聴きのがしたのが、今思うと残念(「マノン」は聴いた)。クラウスもいいけど、サッバッティーニ大好き。リリカルな中に、強さも備えている。

中嶋彰子さんもいいなあ。むらがなく、すっと通った声が出ている。
 デ・カルロスはその反対。フランス語はわからないけど、声が外に出ない。もともとイタリア語のような開放的な響きじゃないにしても、オペラならやはりベルカントでやってほしいなあという気持ちだ。レポレッロでも同じような印象だったから、言語のせいではないかも…

第二幕の後。

「オケ、なかなかしっかりしてるやんか。ドン・カルロときのの東フィルよりずっとええやんか」
 「あのときの初日は最低でしたわ。一緒に見た日は多少マシになってましたけどね」
 「端役でええ声の人、おったなあ」
 「中鉢さんでっしゃろ。そのうちメジャーな役、歌いまっせ」

指揮、オーケストラ(東京交響楽団)には、日曜朝の大沢親分じゃないけど「あっぱれマーク」を進呈する。舞台・歌手に寄り添った音を奏でていたと思う。舞台とピットの相互のインスパイアのない公演ほど味気ないものはないものだ。マノンのときより、ずっといい(あっ、「マノン」の時は東フィルだった)。

私は1年前に東京に転勤してきて、初めて行ったコンサートが岩井理花さんと中鉢聡さんのジョイントリサイタル(2001/1/18銀座十字屋ホール)、小さな会場に彼の声が鳴り響いていた。その後、新国立劇場でも脇役で数多く出演、年末のドン・カルロのレルマ伯爵も印象に残っている。今日はコーラスも含め脇役陣が正直パッとしなかった中で、中鉢さんは目立った。

終演後。

「サバッティーニ、手抜きなしで歌とったけど、ちょっと疲れとったんとちゃうか。前に聴いたときはもっと完璧な声やったような気いするけどなあ」
 「やっぱり、この役で中二日はきついんとちゃいますやろか。ちょっと高いところで、そんな感じのとこありましたねえ。でもよかったですけど」
 「シャルロットって、こんなドラマティクな歌なんやろか」
 「いや、ほんま。そんな感じですな。低いところも高いところも、ちゃんと出て、かなりドラマティクなんで、いずれエボリやアムネリスなんて歌うかも知れまへんなあ」

確かに、こんなドラマティクな役だったのかということを、初めて気づかせてくれたアントナッチだった。イタリアものでも聴きたいなあ。

第三幕のサバッティーニの有名なアリア、よかったなあ。ほんのわずか疲れの色は混じっていたようだが。クライマックスの高音のピアニシモの素敵なこと、出張先のローマでたまたま聴いた彼のナディール(ビゼー「真珠採り」)のアリアを思い出した。そういえば、この人、イタリアもので聴いたことはあまりない。フランスものばかりか、ロシアものでもよかったし(ロンドンで聴いた「エフゲニー・オネーギン」のレンスキー)。

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