「カプレーティ家とモンテッキ家」 ~ ソニア・ガナッシにKO
2002/3/17

公演のチラシ

チケットレス出撃が奏功、あっさり余りの最安チケットを持った人を入口で発見。
 そして…
 終始一貫、こんなに凄い歌を聴いたのは、ほんとうに久しぶり。

「さぶいぼが出る」(出谷啓ふう、標準語では「鳥肌が立つ」と言う)、「野垂れ死にしても本望」(吉松隆ふう)、私なりの言い方では「思考停止、脳みそが溶けるような」感覚だった。

イタリアのオペラでは、この感覚がたまらない。と言っても、そんな公演には年に一度出会えれば幸運。すべては、ソニア・ガナッシ。間違いなく、現時点のこの役で世界最高峰の歌。ああ、行ってよかった。非のうちどころなし。

最高音から最低音まで見事にコントロールされた美声。まさにノックアウトされてしまったという感じ。それに、颯爽とした舞台姿の美しいこと。テバルドとの対決で不敵に笑う格好良さ。追っかけをする経済的余裕はないので、また来てほしい。タンクレーディやセミラーミデを聴いてみたいなあ。彼女だったら5万円の席でも文句はない(でも天井桟敷を買うけど)。

マリエッラ・デヴィーアも良かったのだが、霞んでしまった。10年ほど前に聴いたときより声も重くなったし、私は佐藤美枝子の声のほうが好きだし、この役を歌える人は他にもいる。でも、ソニア・ガナッシは何人もいない。

昨日は森山京子さんのロメオ登場がオペラの始まりだったが、今日はテバルド佐野成宏さんの登場がオペラの始まり。素晴らしい声なのに、最近は高音のアクートに破綻があるのは心配。四回転ジャンプが決まればラッキー、ではメダルは取れない。最高音に至るパッサジオの再チェックが必要じゃないかなあ。世界の檜舞台に立てる人だけに、捲土重来を期待したい。

このオペラ、前半に聴きどころが集中しているのが面白い。遅れて第二幕から観たんじゃ、どうしようもないなあという感じ。私はロメオの登場のアリアで第1ラウンドでいきなりノックアウトされたが、第一幕第二場の二重唱も素晴らしかった。

これが2002のオペラのベストワンになるかも…

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