金聖響/都響「マーラー第5交響曲」ほか ~ とんだ勘違い
2002/3/20

公演のプログラム

東京文化会館での定期演奏会。モーツァルトのピアノ協奏曲第23番とマーラーの第5交響曲。ピアノは仲道祐子さん。

オーケストラの真面目な聴き手ではないので、私は最近の潮流である古楽器奏法というのがよく判らないが、モーツァルトの強拍をやけに強調した弾き方を言うのだろうか。モーツァルトでは、ピアノとオーケストラが、まるで水と油、私には「なんじゃこりゃ」という感じだった。

マーラーもプログラムによれば改訂稿とか、変な音が随所にあるなあと思ったのはそのせいかな。ほんと、熱心な聴き手でないのがバレバレだ。ときどき、ハッと思うところはあるにしても、相当なバラバラ状態と私には聞こえた。

そんな訳で、私が注目したのはクラリネットのベルアップ(と言うのかな)、これも安いEX席(1400円)で、上から見下ろすから出来ること。

マーラーには、やたら出てくるこの奏法、要するに楽器を水平に向けて吹くという指示。三人並んだ奏者、みんなその角度が違う。末席のおねえさん、彼女は生真面目にほとんど水平にして一生懸命吹いている(この人は、現代曲などでは休止を指折り数えていることもある)。かと思えば、首席のおじさんは、おざなりにちょっと楽器を持ち上げるだけ。次席の人はその中間かな。

私の発見、ベルアップの角度で経験が判る、なんて。トゥッティの中で音の区別がつくはずもなし、適当にやってりゃいいというものなんだろうか。元来、これは視覚的な効果を意図したものなんだろう。だとすれば、手抜きするのはいかん、ということに。第1交響曲の最後にはホルンを立たせるという指示もあるぐらいだから、マーラーは視覚的なものに拘った人なんだなあ(あれはとても効果的)。

(後日談)

掲示板の常連で、私のメル友でもある方から、ご指摘いただいた。クラリネットの首席は、なんと指で小節数を数え、ちゃんと水平に管を持ち上げてる彼女、佐藤路世(みちよ)さんということ。いや、私の早とちり、思いこみでした。まだ入団から間もないような若い人なので、誤解してしまった。若い人ががんばっているなあ。

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