Leonora mia! ~ 東京都民オペラ「トロヴァトーレ 」
2002/3/24

公演のチラシ

岩井理花さんを初めて聴いたのは、このレオノーラ、1994年のこと(東京文化会館での二期会公演)。あれからもう10年近くなる。
 この年、サントリーホールでの片岡啓子・直野資のジョイント・リサイタルの当日券に並んでいたとき、何枚か余り券を持ったご婦人から、格安で譲り受けて入場したことがあった。
 私の次に並んでいた人は当然に隣の席、そして大変な美人、声をかけないのは失礼というもの(こりゃ、イタリア的感覚か?)。
 「今度、私も歌いますので、よろしければいらしてください」 それが岩井理花さん。以来、彼女は私のマドンナ、ルーナ伯爵ならずともLeonora mia!ということに…

その後、私は長く大阪にいたが、シンフォニーホールの年末第9(佐渡裕指揮、1999年)のソリストで彼女が歌ったときには、花束を抱えて行ったものだ。
 何と、東京の自宅まで花束を持ち帰っていただいたらしいことを年賀状で知り、とても驚いたことがある。歯に衣着せないコメントをしがちの私です が、「正直におっしゃってください」と言われると…

素人なりの感想をお伝えすると、いつも手書きの手紙や葉書で丁寧な返事を頂戴する。漠然と持っていたプリマドンナのイメージが、とっても良い方に振れたのは岩井さんのおかげ。歌もさることながら、人間的にも素晴らしい方とお見受けする。

東京都民オペラソサイエティの本日の公演は、マンリーコが星洋二、ルーナ伯爵が水野賢司、アズチェーナが浦野りせ子、フェランドが菅野宏昭というキャストで、西本眞也指揮のオーケストラ、コーラスというもの。ひとことで言えば、高音パートはとてもいい出来、反面で低音パートは大疑問符というところ。

岩井さんについては個人的に存じあげているので舌鋒が鈍ってしまうが、そんなことをさておいて、前回の同団体のゼンタ(さまよえるオランダ人)に匹敵する出来映えで、群を抜いていた。
 星さんは期待以上の出来。何も無理に楽譜にない音を出そうとしなくてもよかったのに。中高音域の美しさは、邦人テナーでは出色のマンリーコだと思うのに。
 水野さんはオランダ人を歌ったときには、さほど気にならなかったが、ルーナ伯爵はちょっと厳しい。何よりも声の響き、カンタービレのキレの良さで聴かせないといけない役なのに、これではちょっと。
 浦野さん、終幕のソットヴォーチェのところ以外は、願い下げだ。おどろおどろしさを出す前に、歌わなくてはどうしようもない。何故、カーテンコールの最後に登場し、拍手が出てブーイングがないのか、不思議で仕方なかった。客席に弟子筋の人が多かったのかも。

オーケストラとコーラスは、アマチュアらしさが出ていて微笑ましい感じ。難しいところは自信なげに、簡単なところはやけに威勢が良いオーケストラ、舞台上では一生懸命やっているのが判るコーラスも、舞台裏に回ったとたんに平板極まりないものに。ひょっとすると、ノーギャラかも知れないので、厳しいことは言えないけど(でも私は金を払っている)。

日曜午後の新宿文化センターの聴衆はちょっと違う。コーラスあたりの身内なのか、客席での私語が目立つし、知り合いの出番が終わったのか飽きたのか、途中退席も多い。伊勢丹あたりでの買い物のついでなのか、袋ゴソゴソというのも耳障り。そんな中で、演奏の出来と無関係にブラーヴォが聞かれたのが、何とも不思議だった。

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