新国立劇場「ワルキューレ」 ~ 休暇の効用
2002/4/4

上り始発電車で新国立劇場に5:00前に到着。まだ誰も並んでおらず列の2番目。大型の背もたれ付きのキャンピングチェアで、リラックスして5時間の長期戦だ。平日のせいか、S席A席も残っていたようだが、格安Z席は7:30ぐらいが入手確実なラインか。

休暇をとっていたので、チケットをゲットし、いったん帰宅。ごはんを食べて、風呂に入って、昼寝して、準備万端(近隣のメリット)。おかげでワルキューレの長丁場、眠くならずに済む。
 ワーグナーは一応CDも揃っているのだが、自宅で聴く気にならないから、実演を聴いた回数の方が多いんじゃないかなあ。

今夜は、けっこう楽しめた。演出が洒落ている。好みの分かれるところだろうが、私は好き。これを日本の「真面目な」ファンの前でやることに意味がある。ワグネリアンでも何でもない私は、もともと荒唐無稽な神話だから何をやっても許せる。面白ければ面白いほどいい。
 第二幕、大柄なブリュンヒルデ(リンダ・ワトソン)が子供の木馬に乗って出てくるのは笑える。第三幕ワルキューレ・ナースたちがベッドを押して走り回るのも愉快。でも、あれでアンサンブルをやるんだから、歌手は大変だろうなあ。

歌手、やはり藤村実穂子さん(フリッカ)か。ヴオータン(ジェームス・ジョンソン)を尻に敷いている。ジョンソン氏、第二幕では完全に食われてしまった。続くモノローグでも生彩のなかったこと、いつも寝てしまうところだが、起きていたのは昼寝の成果だ。でも、終幕では、気を取り直し、なかなかの歌唱だったと思います。

双子の兄妹もいい。スーザン・アンソニー(ジークリンデ)は高音で音質の変わるのが少し気になるが、上手く誤魔化していたと思う。ロバート・ディーン・スミスのジークムントは好感が持てる。やっぱり、ワーグナーでも明るくクリアな声がいい。
 フンディングのドナルド・マッキンタイア氏は、若いメンバーの中では、ちょっと浮いていたかなあ。これからの歌手で揃えた方がよかったような気もする。

準メルクル、私は初めて。なかなか、いい。歌を大事にして、出しゃばらない。そのくせ、けっこう精妙な音を出している。この世代の指揮者にしては珍しい存在かも。ローカルな劇場で経験を積んだことがバックにあるからだろうか。
 東京フィル、今日は最初が良くて、後半はちょっとガス欠かな。ピットで時に感じる気の抜けたようなところはなく熱演だけど、何度も金管が変な音を出すと、やっぱり次からN響に交替というのも仕方ないかなと思ってしまう。

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