新国立劇場「ルチア」 ~ Bキャストの奇蹟は起こらず
2002/10/13
シーズン開幕の演目(椿姫)、とんでもないBキャストの初日(ムーラ)に遭遇した私は、二匹目のドジョウを狙って、早朝から初台へ。
結論から言えば、奇蹟は起こらず…とは言いながら、高水準の公演だ。1500円はとっても安い。
初日とキャストはサルトーリを除いて入れ替わり、次のメンバー。
チンツィア・フォルテ(ルチア)
ファビオ・サルトーリ(エドガルド)
谷友博(エンリーコ)
若林勉(ライモンド)
角田和弘(アルトゥーロ)
於保郁夫(ノルマンノ)
ルキアネッツはまだ観ていないが、フォルテの舞台姿はとても美しい。美人は得だ。もちろん歌も素敵なのだが、何しろ私が前に観た舞台はグルベローヴァなので、比較しちゃいかんかな。でも、グルベローヴァの歌唱は完璧すぎるから、フォルテのほうが人間的なルチアかも知れない。
音色には若干のムラがあるし、コロラトゥーラの響きもパーフェクトとは言えない。そこが逆に生身の人間を感じさせるし、狂乱ということですから、それもよし。
2000人近い聴衆が息を詰めるこの場面、会場の静寂がいい。新国立劇場の聴衆のレベルが、どんどん上がっているのが判る。シーズンを持つオペラハウスがあるということは、こういうことか。
サルトーリは好調だった。きれいにのびる声。終幕のアリアは聴かせた。見かけは太りすぎで、フォルテとは対照的だったが…
谷さん、とても期待して臨んだのですが、実力を発揮しきれなかった感じ。新国立劇場での初の大役ということで、気負いがあったのだと思う。開幕の於保さんの不調につられた訳ではないだろうが、オーケストラに乗れない感じのスタートだった。力みすぎなのか、カンタービレの美しさがない。声量は他を圧しているのですが…。こんなものではないはず、同じカンマラーノ(台本)のルーナに期待かな。
脇役陣、若林さん、角田さんが秀演。こういう役柄がきちんとすると舞台が締まる。
帰りに入口にある張り紙を見たら、明日のチケットは完売になったようだ。さて、連日の早起きとするかな。4時間待つと言っても、気候もいいことだし、背もたれ付きの大きな椅子持参で、読書の時間だと思えば何てことはない。