新国立劇場「ルチア」 ~ シングルキャストになる前に
2002/10/14

9時過ぎにベッドにもぐり込むといういうのはお子様時間。そして5時前に目が覚めるというのは、こりゃジイサン並みだ。山登りではなく、初台の当日券を買いに行く。
 そう言えば、昔マンハッタンにいたころ、夢の中にキリ・テ・カナワが出てきて、ガバッと飛び起き、バスを乗り継いでメットの立見席発売に駆けつけたことがあったなあ。あれはドミンゴのオテロを買うためだった(デイム・キリはデズデモナ)。あとで、これをカミサンに話したら、あきれられてしまったが…

ともかく、本日も楽勝のZ券入手、分厚い本も二日でだいぶ読めたぞお。

公演のチラシ

今日のキャストは、次の顔ぶれ。
 ヴィクトリア・ルキアネッツ(ルチア)
 ヴァルター・ボリン(エドガルド)
 ファビオ・サルトーリ(エンリーコ)
 久保田真澄(ライモンド)
 松浦健(アルトゥーロ)

第一幕第一場、今日は快調、バラバラ感はない。フロンターリ、なかなかいい。ベルカントから逸脱しない。やはり一日の長がある。谷さんも早くこの域に達してほしいもの。経験を積めば難しくはないはず。

第一幕第二場、昨日気づかなかったチョロチョロというのは泉の水音かな。効果音なのか、本当に流しているのか、オペラグラスを忘れるというドジを踏んだので確認できず。だから、ルキアネッツの美しい(はずの)ルチアも、遠目の世界。

「あたりは沈黙に閉ざされ…」は、途中から彼女のブレスが気になりだして集中できず。歌自体は悪くはないのだが…。どうしてあんなに息継ぎが耳につくのだろう。私が座ったのが天井桟敷のコフィン・コーナー(フットボールじゃあるまいし)、ここには小さな音でも集まってくるようだ。

第二幕以降は気にならなかったので、あのアリアだけかな。それほど至難と言うことかしら。逆に第三幕第二場(ルチア狂乱の場)は、超絶技巧とは言え、自然な呼吸で歌えるのかな。

第二幕第一場、ルキアネッツとフロンターリのデュエットは聴かせた。高音での声の張りはさすがにしても、中音域にルキアネッツの美点があるような気がする。トータルでは、私はフォルテをとるけど…

さてボリン、椿姫ではムーラの引き立て役に徹して(?)いた感じだが、真価発揮なるか…。
 よく判らないテノールだ。きちんと高い音も出るし、歌のフォームも崩れない。でも音域によって突然紗幕がかかったようにボリュームが変化する。不思議な人です。

昨日と同じく、脇役陣がよかった。なかでも久保田さん。

このルチア、めまぐるしく歌手の組み合わせが変わる。私の好みで言えば、フォルテ、サルトーリ、フロンターリのセットがベストかと思う。

新国立劇場は、来シーズンから新監督の方針でシングルキャストに変わるとのこと。練習時間を十分にとって、完成度の高い公演にするという理屈はとてもよく判るが、今のABキャストの聴き比べという楽しみがなくなるのは寂しいところもある。特に、衝撃的なムーラ体験の後では…

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system