昭和音楽大学「夢遊病の娘」 ~ 同じベッリーニなんだけど
2002/11/4

公演のチラシ

晴天の3日、10時間以上も山歩きしたので、パルジファル(ワーグナー、読売日響)はとても無理ということで上野はパス、午後の散歩に初台まで。

パルジファルは、先年、飯守泰次郎さん指揮の尼崎(アルカイックホール)での公演を観ているし、最低でも8000円という今回の値段は、あまりに高すぎるし…

しかし、ベッリーニの短めのオペラも、疲れのせいかときどき意識がなくなる。演奏はちっとも悪くない。かなりの水準だけど。でも、正直言って、作品のドラマとしての弱さを否が応でも感じる結果になった。この曲で感動を味わうのは本当に難しい。よほどの歌が聴けない限りは。

アミーナの光岡暁恵さんの歌は立派だ。でも、満足できない。楽譜を正しく再現するだけでは、ベッリーニはきっと駄目なんだろう。それは当たり前のこととして、そこに圧倒的な声、歌に込めた自律的なドラマの表現力、そういったものがないと、ただ「素敵でしたね、よかったですね」で終わってしまうような気がする。それじゃ、ベッリーニ、あるいはベルカントオペラを聴いたことにはならないし…

今年の東京での二つのベッリーニとの差はとてつもなく大きい。「カプレーティとモンテッキ」、「清教徒」、あれは特別なものであるとは判っていても、つい引き比べてしまうのは仕方ないところ。昭和音楽大学のスタッフと藤原歌劇団準団員のメンバー、「準」というのがどういう意味合いか知らないが、いまひとつ満足できなかった公演だ。

世界のスーパースターもアマチュアも、その間は不連続ではなく、つながった線であると私は思っているし、少なくともそれなりにお金を取る公演であれば、中劇場サイズに慎ましくまとまった演奏でよしとするようなことでは、どうかなあという気がする。

中劇場とは言え、新国立劇場でそれなりの料金で三日間の公演を打つ志は高く評価したいと思うが、見るところ身内関係が半分以上を占める客席の雰囲気だと、出演者の今後の飛躍の可能性については心許ないところがある。実際の経費はともかくとして、観る聴く立場からは、3000円は必ずしも安いとは言えないから。

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