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ベルティーニ/都響のマーラー第4交響曲 ~ 天使の声を期待して
2002/11/22

公演のチラシ

休日出勤の振替で休みをとっていて、本当によかった。前夜の新国立劇場の余波で、朝起きても全く気分が優れず、ご飯を食べてひと眠り。真っ昼間に熱いお風呂に入って、やっと気分さっぱり。一人暮らしだから、こんな気ままなこともできる。

早々にチケットを買っていたジューン・アンダーソンに行き損ねた武蔵野市民会館、この日はハスミック・パピアンのリサイタルで初めて行く予定だった。そうしたら、病気で来日中止のはがきが…。どうも、ここは鬼門かな(方角は西北西なんだけど)。月末の幸田浩子さん、風邪など引かないように。
 はがきを受け取るや否や、覗いた掲示板、椿姫かマーラーか。ムーラの余韻がまだ残っていて、椿姫を観る気にならないので、埼玉会館のチケットを譲っていただく。

プログラムは「亡き子をしのぶ歌」と第4交響曲。

クラウス・メルテンスという人、ドイツ・リートの世界には暗いので、名前も聞いたことのない人だが、端正な歌唱だったと思う。メルテンス氏の声は、抑制された歌いぶりというのか、私にはちょっとメリハリに乏しいような気もした。

この曲は内容が暗くて辛気くさいという固定観念があって、あまり聴いたことがなく実演も初めてかな。大オーケストラの割には、すごくデリケートな伴奏が付いていて、聴き込むほど味があるというものなのかも…

後半の第4交響曲、今日は休みと決める前は、浦和に遅刻したら、この曲だけでも聴ければいいや、さらに第四楽章だけでも、と思っていたが、第一楽章の出来が素晴らしかった。

鈴の音に続くヴァイオリンのおそろしくデリケートな入り(コンサートマスター:矢部達哉)から引き込まれてしまう。ポッ・ポッ・ポッ・ポッと単純にリズムを刻むだけのホルンのフレーズまで息づいている。微妙なテンポの動き、楽器間の受け渡しの自然さ。互いの音を聴きながら弾いているということが、とてもよく判る。

そして、お目当て森麻季さん登場の第四楽章。ああ、この人のB→C(オペラシティ・リサイタルホール)も行き損ねたんだ。

この会場は全くPAなしだと思う。メルテンス氏も森さんも、ナマの声がそのまま伝わってくる。森さんは、決して大きな声じゃないけど、細かいところまでよく聞こえる不思議な声だ。私のイメージでは、この第四楽章の歌は彼女が最高だろうなと思っていたし、期待に違わぬ素晴らしさ。

天国の世界、まるで天使が歌うよう、とまで言うと大袈裟ですが、歌詞に込められたユーモアも感じさせる歌いぶりでした(プログラムに添付された深田甫の対訳がそのニュアンスをよく伝えている)。

でも、森さん、こんなにぴったりの歌なのに、譜面を持って歌うのはいかがなものか。せいぜい10分のことなのに、暗譜でやって欲しかったなあ。

ともあれ、彼女の歌を聴いて、前夜の耳直しになった。それでも、明日はまた、ご近所初台にというのだから、私も懲りないヤツ。

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