プフィッツナー「クリスマスの妖精」 ~ 子供に観せたくないオペラ
2002/12/13

公演のチラシ

初めて行く「こまばエミナース」、そんなところ知らないなあ。学生相手の安食堂や雀荘なら覚えているけど…。まあ、山登りばかりしていて、あまり学校に行かなかったからかなあ。
 30年ぶりに降り立った駅から歩くこと5分、やはり昔はこんなのなかったような。

小さなホールだ。東京室内歌劇場の公演だから、大きな会場のはずはない。値段が10000円と3000円、小さい会場だからこうなってしまうのか、何かと風当たりの強い特殊法人だから収益に走っているのか。何しろまたの名が「国民年金健康保養センター」、スーパー銭湯の施設かと思ってしまう。

私は職場のT君を誘って、3000円の席をペアで5000円。500円の節約。でも、彼は休憩で帰っちゃったから、悪いことしたなあ。20世紀の作曲家らしいから、彼の嗜好にフィットするかと思ったのが早計。全然違ったようだ。

オーケストラの響きは美しいのだけれど、どう見ても時代錯誤としか思えない。「何、これ」と思いながら、二度と観ることもないだろうからと、最後まで鑑賞してしまった。

オーケストラも歌手もしっかり練習していると思うし、真面目に演奏しているのはよく判る。前から二列目、チェロの目の前なので、個々の奏者の音まで聞こえる感じ。そんな前の席で極端に安いのは、ここはピットがなく前方の席を取り外して同一平面にオーケストラがいるからだ。したがって、奏者の頭越しに舞台を観ることに。

プフィッツナーが、忘れられた作曲家になったのは当然のような気がする。精一杯演奏しているのに、少なくとも私には、その音楽に何ら惹かれるものがないのだ。一生懸命やるほどに客席の空気が暖まるかと言えば、否だ。

題材はクリスマスのメルヘンだし音楽も平易、客席にも子供さんの姿が多く見られが、この子たちはどう感じたのかしら。「オペラって楽しいな、また観たいなあ」と思ってくれたらいいんですが…
 我が身に振り返って、うちの小学生のぼうずを連れて行くとしら、この曲なんて絶対にパスだろう。きっと「もう、オペラなんていやだ。だって、つまんないもん」と言われそう。まさか子供に「サロメ」を見せる訳にはいかないが、せめて「魔笛」。「ヘンゼルとグレーテル」だって、音楽としてはどうかなと思うし。

本日のキャストは次のとおり。

長井マヤ(妖精)、小野和彦(長老の樅の木)、佐橋美起(みどり児イエス)、小宮一浩(フリーダー)ほか、千葉芳裕(指揮)。

歌い手はこれからの人、これまでの人、様々だが、個別の論評はしない。それと、日本語による上演はやはり抵抗感がある。歌になるとほとんど何を言っているのか判らない。しかも韻律が不自然きわまりないし、これじゃ子供に聴かせられない。台詞は日本語で、判らなくとも歌は原語でやる方がずっと自然に音楽を聴けると思う。

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