佐渡裕/都響・フランク「交響曲」ほか ~ 華やかで、そして空疎
2002/12/20

公演のチラシ

今年のコンサートの打ち止めとなるはずが、クリスマス・イヴに室内楽を聴くことになったので、まだ年は暮れそうもない。新日本フィルと定期公演の日程が完全に重なったので、都響は東京文化会館からサントリーホールに振替えました。4階サイドのEX席(1400円)だったのでP席かと思ったら、引き替えにもらったチケットはB席(4000円)。差額なしのグレードアップとは良心的。

前半、ドボルザークのチェロ協奏曲、デニス・シャポヴァーロフのソロ。この人は1998年のチャイコフスキーコンクール優勝者とのこと。本当かな?

第一楽章の途中から第三楽章の半ばまで、私はほとんど寝ていた。オペラと違って、オーケストラの場合、プログラムの前半に眠くなるが、かなり爆睡状態だった。いびきをかかなかったかしら。別の席で聴いていた後輩、出口で落ち合ったとたんに酷評だったから、つまらなかったのは私だけではなさそう。音楽に引き込まれるような魅力を、ちっとも感じない。チェロのソロが終わったとたんに、コーダではやけくそのようなプレスト。あれはいったい何なんだろう。まあ、面白かったけど…

さて、後半のフランク。第一主題の提示と確保の活きのいいこと。スカッとする感じはある。オーケストラもバリバリ弾くという感じ。

ところが、聴き進むにつれて、飽きてきてしまう。各モチーフはそれぞれしっかり表情づけして、判りやすく聴かせようという意図があるようだ。でも、自然な流れが阻害されて、あざといと感じるところが耳につく。第三楽章は派手に鳴らすわりに同じようなトーンの繰り返しで、全くニュアンスが感じられない。

この曲はしっかりした構成感が備わったものだけに、変にカッコつけないで、素直な流れを確保したほうがいいような気がするのだが、まあ、そのあたりは聴く人の好みの問題かも知れない。私の嗜好には合わない演奏だが、クリアで爽快感のある演奏と聴くファンも多いことだと思う。ホールを出て、地下鉄に乗るころには忘れてしまうコンサートだった。この人が師事したという人の演奏と、どこか一脈通じるものが…。10年後、20年後に、心に響く演奏が聴けたらと思う。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system