クリスマスの弦楽コンサート ~ オヤジ二人でイヴ
2002/12/24

公演プログラム表紙

今年のオペラ、コンサートは、打ち止めのはずが…

職場の同僚T君が、ひょんなことから第一生命ホールの招待券を二枚ゲット。年末の帰省を前に、淋しいクリスマスイヴの私は、一も二もなく便乗。行ってきました、晴海トリトンスクエア。

隅田川の川向いなのに、勝どき駅からあっちには行ったことがない。トリトンスクエアがオープンしたおかげで大江戸線が混み出し、通勤経路を変えたしなあ。いやあ、クリスマス、桜並木のイルミネーションがきれいだ。

「松原勝也プロデュース、アドヴェントセミナー参加の若手演奏家によるクリスマスコンサート2002」なる催しです。入りは6割ぐらいだろうか。プログラムは、次のとおり。

メンデルスゾーン:弦楽のためのシンフォニア第1番 ハ長調
 バッハ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BVW1041
 オネゲル:ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ ホ短調
 ドボルザーク:弦楽のためのセレナード ホ長調 Op22

「ちゃんと弾ける人たちを集めて、初見でも合わせられる楽譜を前に、10日間みっちり練習をしたらどんなことになるか、やってみたいですね」という松原氏(元新日本フィルコンサートマスター)の言葉で始まったセミナーとか。したがって、指導者兼パートトップはプロ、あとはアマチュアというかプロの卵の人たち。

プログラム前半のメンデルスゾーン、屈託のない音楽はこの作曲家の特質だが、演奏も若々しく素直。バッハではソリストで松原氏が登場。これも爽快なスピード感がある。でも、やはり正真正銘のプロ集団ではないから、きれいに合わせているけど遊びには欠ける感じ。まあ、指揮者なしだし、20人近いメンバーを合わせるだけでも大変、無理もないかな。

後半のオネゲル、これはとてつもなく面白い曲だ。思わずニヤリとしてしまうようなヴァイオリンとチェロの掛け合い、この二つの楽器のデュエットはあまり聴いた記憶がない。同族だけにしかできないような、近くて遠い、男と女のようなやりとりだ。第二楽章のトリオの対比感、真面目に拝聴しているのはもったいない。でも、フフフと笑うわけにもいかないし…

なにしろ、休憩後は、すっぽり空いていた関係者用(?)の4列・5列の中央に二人並んでデンと座っていたので、余計におもしろさが伝わってくる。鈴木理恵子さんのヴァイオリン、山崎伸子さんのチェロ、二人ともプロ。

さて、ラストのドボルザーク、これは全員によるセミナーの成果披露にふさわしい演目。熱演。聴くだけの私は楽しむだけでだが、最近この曲のチェロパートを弾いたT君に言わせると、とっても難しいとのこと。

松原さんは、全員をリードする立場もあってか、かなりのアクションで弾いていた。後ろのセミナー受講生に比べると、弓の走行距離は1.5倍ぐらいあったと思う。三人分ぐらいの音が出ている。他のトップ奏者も同様。これがプロということなのか。みんながこんな風に弾いたら、きっと凄い演奏になるのだろう。トップ奏者の音楽の表情がメンバーに100%伝播したとは言えないけれど、彼らにはとても勉強になったはず。私もプロとアマはひとつの線で繋がっているとは思うものの、一方でその距離も感じた演奏だった。

あっ、そうそう、女性奏者のドレスが、見事にそれぞれ違った色で、クリスマスらしい華やかさ。配色を調整したのかしら。

NY時代に匹敵する記録的な回数となった今年のコンサート通い、締めはオヤジ二人の弦楽のイヴとなった。

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