井上道義/都響「ショスタコーヴィチ3番」ほか ~ 嫌みのないショーマンシップ
2003/1/18

オーチャードホールのカーテンコールも失礼して、渋谷から赤坂に。ダブルヘッダーというのは、初めてのことかも。広上さんにはブーイングも飛んでいたらしいが、その時には会場を後にしていたので、何とも…

公演のチラシ

サントリーホールでの都響定期。ショスタコーヴィチは好きな作曲家なので、珍しいシンフォニーを演るとなれば、何はさておき。井上さんは最近この作曲家を積極的に採り上げているようだ。大阪にいたころ、第4シンフォニーを大阪フィル定期で聴いたことがある。

この作曲家、肩肘張って聴くのは正解ではないような気が最近している。もちろん、天才だし、重いテーマも含まれているのだろうが、私は多彩きわまる音響として、目まぐるしく移ろうオーケストラの遊びとしての魅力を感じている。とにかく、ショスタコーヴィチは見ていて楽しい。自宅のオーディオルーム(そんなのはないが)で聴くような音楽じゃない。

1時間程度ならショスタコーヴィチは全然退屈せずに聴ける。それに、このメーデー交響曲は30分、しかも終盤には合唱(栗友会合唱団)まで入るというのだから。この曲、真面目だかそうでないのかも不分明、概して騒々しくシニカルというショスタコービッチの交響曲だけど、井上さんの演奏はスマートで健康的な印象を持った。楽しかった。スカッとするオーケストラを聴いた。

最初の「ルスランとリュドミーラ」序曲、アマオケでは最速演奏記録に挑戦したりする曲のようだが、今日の演奏も爽快。演奏後にオーケストラのメンバーがにっこりしているは見ていても楽しい。

プログラムの真ん中はラフマニノフの第3コンチェルト。ニコライ・ペトロフというピアニスト。ピアノ音楽にあまり関心のない私なので、名前を聞いたこともない。登場した姿にびっくり、コンサートマスターの山本さんを三回り、四回り大きくしたような体格、それこそ両国からお越しになったような感じ。井上さんと並ぶと、さすがに井上さんの頭が抜けていましたが、横幅は倍以上。今までに見た一番太ったピアニストだ。いや、それがいきなり繊細な音で、びっくりする。もちろん立派なフォルテも出る。なかなか、視覚的にも楽しめたコンチェルトだった。

あちこちのオーケストラを振っている井上さん、聴衆ばかりか、オーケストラにも人気があることが判る。今じっくり腰を据えて取り組むポストがあればと思ってしまう。金曜日にはこの人と新日本フィルとのマーラーを聴く予定。

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