井上道義/新日本フィル「マーラー第9」 ~ 最後のオーチャード定期なのに
2003/1/24

公演のチラシ

さすがに19:30開演だと、ゆったりとホールに出かけられる。

新日本フィルのオーチャードホールでの定期演奏会はこれが最後らしい。その曲目がマーラーの第9交響曲とは、ふさわしいと言えるのかどうか。チケットは完売だったらしい。キャンセル分を求める人が、10人近く並んでいた。

2か月前にゲルギエフ/キーロフでこの曲を聴いたばかりで、どうしてもそれとの比較になってしまう。残念ながら、私は今日の演奏には満足できなかった。相当に不満と言ってもよいかと思う。どうしたんだろ、井上さん。

リハーサルの時間が充分でないのか、このオーケストラの実力がこの程度なのか。キーロフも完璧にはほど遠い出来だったけど、それに比べても相当に見劣り(聴き劣り)がする。

2か月前は、粗野な第9という印象を持ったが、今日は肌理細かいとか粗野だとか言う以前のような気がする。一番感じたのは、各パートの音量バランスの悪さ、そして、各ソロパートのフレーズの表情の乏しさ。腕が悪いのか、練習不足か? 全体を無理にまとめようということでなく、マーラーの分裂気味のところを強調しようという意図なんだろうか。

第一楽章はかなり遅めのテンポだったと思う。各ピースがどうしてもはまらないジグソーパズルのような感じ。ふさわしい音量で、ふさわしい表情で、音楽の流れになっていかない。集中できず、かなり疲れる。私の前の席、四人並んで、見事に頭を傾けて爆睡。判らなくもない。

第二楽章以降、少しは変わるかなと思ったが、そうでもなし。終楽章アダージョも弦のうねりが感じられず、消え入るようなコーダも取って付けたような感じだった。この最後のところで、目立つ咳をした人がいたが、生理現象なので仕方ないし、それだけ聴衆が集中できない演奏だった証左のように思えた。

私の体調が良くなかったのかも知れない。席の位置(3階2列10番台)の問題もあるかも知れない。これなら、わざわざ高速夜行バスにしないで、あっさり新幹線で帰省すればよかったかな。

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