バルシャイ/都響/マーラー第10交響曲 ~ ショスタコーヴィチを通り越して
2003/2/7

この指揮者の演奏を遠い昔にレコードで聴いたことがあるような気がする。しかし、記憶は定かではない。かなりのお歳のようだから、ずっと前に聴いたことがあっても不思議ではない。最近では、この人の激安「ショスタコーヴィチ交響曲全集」なんてCDを、店頭で見かけたりするが、買ってはいない。

どんな演奏を聴かせてくれるのだろう。そもそもバルシャイ版というマーラー第10交響曲って、どんな音がするのか。もちろん、日本初演。私はこの交響曲のクック版も一度CDで聴いたぐらいなので、覚えていないし比較のしようもない。

確かにマーラーらしい音がする。でも、それが全曲を通してじゃない。それよりもショスタコーヴィチではないかと思ってしまうような、ギャグめいた響きも出てくる。いやいや、マーラー、ショスタコーヴィチのさらに後の響きではないかと思うようなところも。

マーラーがオーケストレーションを施さなかったという第2楽章以降は特にそんな感じが強く、管楽器の強烈な持続音、不気味な変拍子に重なる打楽器の跳梁、快速のパッセージと息の長い歌との極端な対比、見ていて聴いていて、とても面白い。

厚いオーケストラ(舞台狭しとかなりの人数) にしては、響きはとても透明感がある。バルシャイという人は、こういう音づくりをする人なんだろうか。東京文化会館というややデッドな会場のせいか。

プログラムによれば、この第10交響曲、ショスタコーヴィチにも補筆依頼があったらしい。ところが彼は辞退したとか。二人の天才の合作が実現していたら、どんな曲になったことだろう。時計の針は戻せないが、ちょっと残念。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system