若杉弘/大阪フィル@いずみホールのフランスもの+α ~ プログラミングの妙
2003/5/20

公演のチラシ

近いのはいいこと。18:30になって、「仕事は残っているけど、そろそろ行かなくっちゃ」と、いずみホールに到着したのは18:35。オフィスの隣がコンサート会場というのは便利この上ない。

ここで大阪フィルを聴くのは初めて。というのもこのシリーズの第5回なので当然かな。年に4回、シンフォニーホールの定期演奏会と別建の、もうひとつの定期演奏会だ。

2年以上、大阪フィルを聴いておらず、この4月から数えて3度目になるが、レベルは格段に上がっている。先日の大植新監督の「復活」を凌ぐ出来映えだ。しかし、比較するのは酷かも知れない。あちらは超大編成、今夜は800人のキャパのホールでの小編成だから、選りすぐりのメンバーだろう(最大でも8-8-6-4-2の弦五部)。しかも、ホールは小編成オーケストラにはうってつけのいずみホールだし(逆に、声楽にはちょっと、というところはあるが)。

管楽器奏者がこんなに上手かったのかしら、2年聴かなかった間にメンバーの新陳代謝が進んだのかも。中でも、私はオーボエ奏者の見事さに舌を巻いた。私はコンサートの間ずっと、彼の音を聴いていた。

さて、プログラム。前半はフランスもの。

サティ(ドビュッシー編)「ジムノペディ」第1番・第3番、イベール「ディヴェルティメント」、マルタン「7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲」

そして後半は、ベートーヴェンの第4交響曲。なかなか凝ったプログラミングです。若杉さんらしい。

最初のサティで耳を奪われたオーボエの奏者、プログラムによれば加瀬さんという人のようだ。前からいた人なのかなあ。サティの曲自体は聴いたことがないと思っていたけど、何となく耳に覚えが…。一時、環境音楽(?)として聴かれていたものかも。

イベール、面白かった。冗談音楽みたいだが、洒落ている。パロディの連発、メンデルスゾーンはすぐに判るが、私にはJ.シュトラウス、グリーグを引用したようなところも聞こえた。ショスタコーヴィチのようなどぎつさがないのは、フランス音楽のエスプリというのでしょうか(これも訳のわからん常套句だが)。

マルタン、これも面白い。普通とオーケストラの配置が内外逆だ。管のソリストが指揮者を囲み、その外周を弦が包む。響きの美しさに、目をつぶって聴いていたら、途中から人事不省に陥ってしまった。

前半で充分楽しめたので、後半はパスしてもいいかな(そういう聴衆もいた)と思ったが、聴いてよかったベートーヴェンの第4交響曲。どんな曲だったかも忘れていたが、鳴り出せば、ああこれと判る。何十年ぶりに聴くのかなあ。いやあ、名曲なんだ。

後半はヴァイオリンは一転して左右振り分け配置、色々と考えている。小さい編成で、さらに舞台中央に凝縮。フェスティバルホールでの拡散した配置を見慣れた私にとって、そう、これでなくっちゃと肯ける。アンサンブルの緊密さが全然違ってくる。

今夜の演奏会、私がこれまでに聴いた大阪フィルでは、ベストに近いものだと思う。これから、いずみホールでは、大植新監督が2回、井上さんが1回の予定だ。年間セット券を買った私としては、とても楽しみだ。

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