関西二期会「ばらの騎士」 ~ しばらく観ないうちに
2003/10/5

東京の二期会公演(7月)のチケットを持っていたが、転勤となり断念。同じプロダクション、関西のメンバーでの上演に行く。この二年間、東京での二期会公演にはだいたい足を運んでいた反面、関西二期会の公演はご無沙汰だった。たぶん、2000年の「パルジファル」(飯守泰次郎指揮)以来になる。大阪の友だちから最近はレベルが上がっていると聞いていたが、まさか、ここまでという感じ。これは、東京の公演のレベルと遜色ない!

公演のチラシ

大勝秀也指揮の大阪センチュリー交響楽団に、まず感心した。東京でピットに入ることが多い東京フィルは、経験豊富な反面、ルーチン化していると感じることがあるが、このオーケストラは違う。部分的には危なっかしいところがあっても、総じて言えば、R.シュトラウスの長くて厚いオーケストラパートをしっかり練習してきたことが窺える。集中度も高い。こういう曲では、ピットがしっかりしないとね。

ギュンター・クレーマーの演出は、第3幕前半のドタバタの場面はちょっとやりすぎかなという気もするが、竹林に囲まれたシンプルな舞台は鬱陶しさはない。いろいろと暗喩などがありそうだが、一生懸命詮索するのも本末転倒、私は音楽に集中。

オーケストラと主要な役どころの歌手がしっかりすると、このオペラは活きる。ゾフィーの日紫喜恵美(ひしき・えみ)さん、元帥夫人の尾崎比佐子さんは、役柄にマッチしている。

日紫喜さん登場の第2幕、いかにも初々しいゾフィーです。リリカルでいて、しかも声が出る。東京で聴く予定だった幸田浩子さんと比較すると、よりスピントな感じ。ところどころ、声が強すぎるという部分も感じましたが、芯のある個性の表出とみれば肯ける。

尾崎さんは第1幕幕切れのモノローグが素晴らしい出来だった。お昼に食べ過ぎて幕の途中で眠くなったものの、尾崎さんの歌が始まって目が覚めた。この歌のなかの、もう恋する歳でなくなったのか、これが最後の恋なのかという寂寥感、自分自身もそういった年齢になって初めてわかるものがある。

オックス男爵の妻屋秀和さんは、「アッティラ」日本初演のタイトルロールを務めた人、邦人歌手の活躍の場が狭まった今シーズン新国立劇場で常にクレジットされるだけのことはある逸材だ。高音に若干の不安定さがあるものの、イタリアオペラとはまた違った歌唱・演技で大活躍。この人物の下卑な面を強調したような演出なのに、パンツまる出しになっても、彼の歌はずっとノーブルだ。

オクタヴィアンの福原寿美枝さんも熱演、女装時の歌にやりすぎ感はありますが、ばらの騎士(男役)では悪くありません。

先日のテレビ中継で一躍有名(?)になった、阪神尼崎駅前の空中公園を抜けてアルカイックホールに。昔、よく通っていたころには、こんな公園はなかった。日曜日のせいもあって、1700人ぐらいの客席は埋まっていて、補助席も出るほどの盛況ぶり。一昨日のフェスティバルホール(「売られた花嫁」)との落差を感じた。これもタイガース効果(?)

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