バッハ・コレギウム・ジャパン@いずみホール ~ 新世紀のバッハ?
2003/10/25

公演のチラシ

年末、東京ではベートーヴェンの交響曲全曲演奏会なる催しがあるそうだが、大阪も負けていない。こちらは鈴木雅明指揮、バッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハの管弦楽組曲・全曲演奏会だ。おまけで、シンフォニアニ長調BWV1045までついているぞ。

と言うことで、早くから目をつけていたコンサートに出かける。

配布されたプログラムを見ると、演奏順は、第3番ニ長調BWV1068、第1番ハ長調BWV1066、休憩をはさんで、シンフォニアニ長調BWV1045、第2番ロ短調BWV1067、第4番ニ長調BWV1069、ということ。

番号順でなく、こう配列したのは、一番大編成で華やかな第4番が最後で、極端に小編成の第2番を直前に置いて変化をつけるということかと思う。G線上のアリアは超有名にしても、組曲としての完成度は劣る第3番から始めるというのも肯ける。私は、休憩前の、あまり聴いたことのない第1番が意外に気に入った。

古楽器を使っているのに、どうして「新世紀のバッハ」と銘打っているのかよく判らないが、演奏の水準は相当なものだということが、私は普段聴かないジャンルなのに伝わってくる。

午後4時からのコンサート、ひょっとして途中で舟を漕ぐことになってはと、たまたま持っていた古いミニチュアスコアを持参した。滅多にしないことだが、これは効果がある。大正解。音符を追っていると、眠気が襲ってこない。舞曲は繰り返しが多いので、ページを戻すのが忙しい。ブーレーやメヌエットにはⅠ・Ⅱがあり、それぞれで繰り返しがあって、Ⅱが終わればⅠにダ・カーポだ。こりゃ、大変。繰り返し記号はあるのに、それを省略していた序曲のほうが、長くても追いやすい。

トランペットの入る最初の第3番では、トリルのキレや響きの清濁など、首席と第二奏者の技量の差が目立ちましたが、第4番ではさほど気にならず。それを除けば、その他の楽器は立派な演奏だ。

第2番は弦が各一本と、極めて小さな編成、確かにモダン楽器じゃないと、フルートは埋没してしまうから…。機能性や運動性には劣ることは歴然、古雅な響きを優先なんだろうが、私はどちらがいいとも言えないなあ。

スコアを追っていて、改めて、この時代の作品は、見てくれ、とてもシンプルなことを発見。メトロノーム記号もないから、テンポなんてGraveとかAllegroとか、それだけ。だからこそ、表情付けや繰り返しの際の変化など、演奏者に委ねられる部分が多いんだなあと。楽譜に書かれているのは音楽の半分ぐらいか。故に、バッハに限らず、良い演奏と悪い演奏が存在するんだろう。もちろん、今日は前者、最近、何かとストレスを感じることが多いので、これは癒しの音楽かな。

確か、第2番は、中学生のときの音楽の授業で聴いたのが初めかな。

中学校の音楽の先生をよく覚えています。珍しく男の先生で、年もそんなに若くありませんでした。オールバックの長髪に銀縁眼鏡、今にして思えばグスタフ・マーラー風。

音楽鑑賞の時間にベートヴェンの田園交響曲を聴いたとき、この先生にソナタ形式を懇切丁寧に教えていただいた。構造や様式を理解すると音楽がより面白いということを知ったのは、この先生のおかげ。

変だったのは、音楽の宿題に作文が出たこと。どんなテーマだったか忘れたが、戻ってきたみんなの作文には赤鉛筆で「優」や「良」とか書かれていたのに、私のものには二文字で「秀逸」とあった。中学生の語彙にはない言葉で、意味がさっぱり判らず。いい歳のオヤジになって、掲示板やホームページに駄文を書いているのも、そのせいかも知れないなあ。恐ろしきかな、三つ子のたましい。

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