井上道義/大阪フィルのハイドン「朝」「昼」「晩」@いずみホール ~ Just fit!
2003/12/4

急に寒くなった大阪、外に出る仕事なので、寒がりの私はこれからが辛い。昼過ぎから喉の奥に違和感があって、これはまずい。さっそく葛根湯。何とか調子が戻って、予定どおり、いずみホールへ。

ハイドンの交響曲、番号が6・7・8というのだから、本当に初めの頃の作品かな、単に表題の面白さだけで組んだプログラムかと思ったが、全然違う。井上道義さんの演奏では、これまでに聴いたベストではないかしら。

三曲のなかでは、何と言っても休憩前の「昼」だ。これは大変に魅力的な曲だし、演奏者に要求する技量も半端じゃない。弦の各パートのソロが多くて、これはシンフォニア・コンチェルタンテそのもの。

今日の大阪フィルのコンサートマスターは崔文洙さん、新日本フィルからの客演だ。いつものメンバーに異分子が入ると組織に緊張感が生まれるのは世の常だが、それがプラスに出た演奏だった。8・6・4・3・1の小編成の大フィル(井上さん曰く「小フィル」)も精度の高い演奏。フレーズの音の出が普段と違う。このサイズがいずみホールにぴったり。

最初の「朝」では、まだエンジンが暖まらない感もあったが、「昼」では完全に目覚めたというところ。これほどのスリリングなアンサンブルが聴けることも少ないと思う。第1楽章、第2楽章のヴァイオリンとチェロのソロの大活躍。これは傑作。もちろん、初めて聴く曲だけど。

「朝」と「昼」の間に、井上さんのお話(このホールだからマイクなし)、「小フィル」というのも、そのときのギャグ。「朝」「昼」と続けて、休憩を挟んで「晩」、なるほど、言われて初めて気づく、プログラムには「休憩 siesta」となっていた。
 その調子で、「晩」が終わった後、「今日はアンコールはありません。アンコールをやると『明日』になってしまいます」だって。なかなか洒落ている。これは、井上さんのキャラクターかな。

来シーズンのシンフォニーホールの定期演奏会の会員更新ハガキを、今日ちょうど投函したばかり、休憩時に大阪フィルの方に尋ねた。
「いずみホールのコンサート、来シーズンのプログラムは決まっているんですか」
「実は、今シーズン限りなんです。来シーズンは予定していないんです」
「えっ、そんな…」

「晩」のあと、井上さんも舞台上から、このホールでぴったりと合う編成の曲をやりたくても、財政的に苦しいというようなことを言っていた。確かに、東京のメジャーオーケストラが、紀尾井ホールやトッパンホールでコンサートシリーズをやるようなものだから。
 勤め先に至近のいずみホールというだけでなく、普段あまり聴けない魅力的なプログラムなのに、とても残念。このシリーズ、掉尾を飾るのは2月5日、大植英次監督のモーツァルト・プロ(交響曲第1・39・41番)になる。

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