大井浩明チェンバロ・リサイタル@バロックザール ~ バロックと現代
2004/3/14
午前中に奈良で資格試験を受け、午後に京都でチェンバロを聴く。近鉄奈良駅から阪急嵐山線上桂駅まで、思いのほか移動(乗換)に時間がかかり、コンサートには遅刻。途中から中に入れてもらった。
青山音楽記念館バロックザールというのは200人の小さなホール、収容人数の割には天井高があって音はいい。よくリサイタルが催されているようだが、駅から遠くないとは言え、ちょっと足場が悪過ぎる。
大井さんのプログラムは、いつも一癖も二癖もある。400年ほど前の、まさにバロックの時代と、現代の作品が組合されている上に、チェンバロも舞台に二台、東京から運んだらしい梅岡楽器のジャーマンとイタリアンの2種類。曲ごとに、あっちに行ったり、こっちに来たり。
【第一部】
J.J.フローベルガー:来たるべき我が死を弔う黙祷*
三宅榛名:カム・バック・トゥ・ミュージック~チェンバロ版(2004)*
(日本初演)
G.ムファト:パッサカリア
C.ジェズアルド:王のシャンソン*
S.アギレーラ・デ・エレディア:第八の旋法による戦争のティエント*
↓ 遅刻したので、聴いたのは、ここから ↓
伊左治直:機械の島の旅(夜明け)(2004)(委嘱新作・世界初演)
M.ロッシ:第七トッカータ》*
J.S.バッハ:「音楽の捧げ物」より三声のリチェルカーレ
C.Ph.E.バッハ:「クラヴィーア奏法試論」より幻想曲 ハ短調
J.S.バッハ:「音楽の捧げ物」より六声のリチェルカーレ
【第二部】
G.フレスコバルディ:パッサカリアによる100のパルティータ*
高橋悠治:糸車打令(チェンバロ版初演)
W.バード:パヴァンとガリアード第5番*
J.ブル:主の御名に於いて 第IX*
C.ナンカロウ:自動ピアノのためのスタディ第6番「カウボーイ」
&第15番「カノンX」(チェンバロ版初演)
J.-H. ダングルベール:パッサカリア*
J.ティエンスー:ファン・タンゴ(1984)(日本初演)
J.J.フローベルガー:ブランシュロシュ君の墓前に捧げる誄詞*
* はイタリアン・チェンバロ、その他はジャーマン・チェンバロ
今日の聴き始めの伊佐治さんの曲、いきなりでちょっと面食らう。なんか、リズムというものが感じられないなあ。精妙な音は綺麗なんだけど、音楽が立ち止まっているような気がした。プログラムのその他の現代作品は、それぞれ音楽が流れて行くのに、この曲は異色…かな。
私がチェンバロを聴くのは、モーツァルト以前のオペラのピットぐらいなので、リサイタルは初めて、聴く曲どれも耳慣れない門外漢なので、印象はあてにならない。バッハ親子の曲は、これも意外、振幅の大きいものだ。ロマンティックと言ってもいいくらい。
後半のプログラム、ナンカロウは、前に2台のピアノのリサイタルでも採り上げられていた人だ。これは面白い。なぜか、バロックと現代の作品を並べても違和感が全くない。先祖返りということなのか、この間の古典派・ロマン派の音楽の時代が特異なのかも知れないなあ。
思いがけず招待状をいただいて、遠出したリサイタル。お彼岸も近い。奈良、京都、すっかり春の訪れだ。