秋山和慶/諏訪内晶子/大阪フィル定期 ~ 傑作未満のプログラム
2004/5/27

アイヴズ:「ニューイングランドの三つの場所」
 ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲
 シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

このプログラムを見ると、興味は湧くのだが、どれもその作曲家の傑作かと言われると、「?」という感じがする。他の演奏者ならパスしてしまいそうなコンサートだけど、やはり行く。最近の大阪フィルには、次はどんな演奏を聴かせてくれるかなと、期待を抱かせるものがある。

私の結論。アイヴズは、つまらなかった。ストラヴィンスキーは、演奏はともかく、作品の魅力を感じない。シュトラウス、大した曲じゃないと思っていたが、演奏の魅力が発揮されたと思う。これはいい。

アイヴズ、楽しめなかった。重い雰囲気の第一曲、騒々しい第二曲、意識を失ってしまった第三曲、初めて聴く曲でも惹かれることもあるが、これは残念ながら…

ストラヴィンスキー、ヴァイオリンは歌う楽器のはずなのに歌がない。まるで打楽器のような使い方のところも見える。ちょっと、ストラディヴァーリオが可哀想な気もする。諏訪内さん、あれは何色なのだろ、素敵な色のドレスだ。素人目にもテクニックは素晴らしいと思うし、音色も濁りがない。ああ、でも、演奏が作品を超えることはない。私には心に響かない音楽だった。

シュトラウス、この曲は序奏部が済んでオシマイという演奏を聴いたことがある。それから30分付き合わされるのが苦痛だったことを覚えている。でも、この日の演奏は違った。その序奏からして、音量のコントロールが、これまでの大阪フィルでは考えられなかったほどの段階がある。弦楽の室内楽的な響きに転じるところのデリケートさ、楽器の受け渡し、各セクションのバランス、もちろん指揮台の秋山さんの力なのだろうが、新音楽監督がこの1年で築きあげたものの大きさも感じたツァラトゥストラだった。好きな曲ではないけど、これには大満足。惜しむらくは最後の管楽器がもう少し小さい音を出してくれたらということ。難しいかな。

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