ヴィンシャーマン/大阪フィルのバッハ「管弦楽組曲」 ~ 美しく老いるということ
2004/6/17

1920年生まれというヘルムート・ヴィンシャーマン氏は84歳、この指揮者の名前はどこかで聞いたことがある。もともとは、ゲルハルト・ボッセ氏がこの定期演奏会の指揮台に立つ予定だったが、怪我のためキャンセル、プログラムはそのままに、ピンチヒッターとなったものだ。ボッセ氏は1922年生まれらしいから、何という交代なのだろう。

プログラムにボッセ氏のお詫びのメッセージが掲載されていたが、以前、「第9」で大阪フィルに客演の予定だった時も、急病でキャンセルを余儀なくされたとのこと。「いつの日か、赦されることなら、もう一度機会を与えていただき…」三度目の正直で客演したいという誠意のこもった言葉。もちろん、「許すも許さないも…」

演奏家は概して長寿だが、昔は立派な社会人だった人でも、時の移ろいとともに色々な意味で老醜をさらすことが多いなか、音楽家には美しく老いる人が多いと思う。羨ましいことだ。この日の演奏も、そんな表情だった。

バッハの4つの管弦楽組曲を一晩で聴くコンサートは、昨年、いずみホールでのバッハ・コレギウム・ジャパンに次ぐもの。大きなシンフォニーオーケストラの演奏会では珍しいプログラムだ。

ピリオド楽器によるBCJと対照的に、こちらはモダン楽器による演奏。演奏順は、第4番ニ長調BWV1069、第2番ロ短調BWV1067、第1番ハ長調BWV1066、第3番ニ長調BWV1068、BCJの時とは全く逆の配列だ。

古楽器と聴き較べると、やはりモダン楽器の優位は動かしがたい。響きのテイストという世界になると、それは好みの問題になってしまうが…

第2番で聴かれるソロ・フルートの運動性など、段違いのものがある。ただ、BCJでは弦が一台ずつだったのが、ここでは複数となると、やはりフルートは埋没気味に聞こえる。

穏やかで、心安らぐ演奏だったと思う。この一年で磨かれてきた大阪フィルのアンサンブル、トップ奏者を並べたこういう編成だと、特にそれを感じる。この一週間、大阪は梅雨の中休みと言うより、早すぎる真夏日の連続でバテ気味の私だったが、少し癒されたような。

さて、来月の定期は、いよいよ大植監督が御大の誕生日にブルックナーの第8番をぶつけるという、注目の演奏会。私は、両日のチケットを持っているのだが、第1夜は都合で行けなくなった。会場で事務局の方に、希望者へお譲りしてもいいと申し出たところ、ウェイティングリストには50人近い名前があった。残念ながら、金銭の授受を伴うため仲介していただけないようなで、チケット掲示板に出した。

来月には、定期演奏会とは別に、「シェエラザード」を演奏することになっている。7/16の池田市民文化会館でのコンサート。先月の定期演奏会のときにはチケット(2500円均一)があったが、もう売り切れてしまったようだ。私は招待券プレゼントに応募していたが、昨日、落選通知が到着。腕によりをかけて葉書を出したから、当たると思っていたのに。完売となると余計に聴きたくなる。児玉桃さんとのモーツァルトもあるし。

「シェラザード」は、7/14の大阪NHKホールでのコンサート(1500円均一)でも一部演奏される予定だ。こちらは、きっちり前売券を確保済(「大阪市青少年のためのコンサート」なのに、奈良県民のオヤジが行っていいのだろうか)。

いっそ、大植さんに、7月下旬まで大阪にいてもらって、天神祭の船渡御(7/25)で大阪フィルと「水上の音楽」を奏でるなんて企画はどうかな。これって、大阪の夏らしくて、面白そうなんだけど。

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