大植英次/大阪フィル定期「サムソンとデリラ」 ~ シンフォニーホール、再び
2004/12/10

二日連続で同じプログラムの定期演奏会に出かけるのは初めての経験。後半からにしようかなと思ったが、6時を過ぎたら、やはり足はシンフォニーホールに向かう。まるでデリラの魅力に抵抗できないサムソンのよう。

わずかな補助席が出るのは昨日に情報収集済、ほんとはそれが売り切れたあとの立見席ねらいだったが、1階中央部の通路が補助席(A席)となっており、これは前から10列目なので買わない手はない。会員価格5200円也。
 定期会員の私のポジションとは大違い、舞台が近い。と言っても、いつもの私の定位置はオーケストラの各奏者がよく見える、それぞれの良さはある。

二日目の演奏は初日と大きな違いはない。前半と比べ後半が際だっていたのも同様だ。どうもこれは、サンサーンスの音楽自体の出来の問題もあると思う。前半はオラトリオなんだろう。ここでは合唱の真価が問われる訳で、大阪フィルコーラスは健闘ではありますが、びわ湖ホールでの2001年メトロポリタンオペラ来日公演の第一幕と比べれば、今ひとつの感は否めない。
 でも、私にとって、後半の感銘度は、あのときの公演を凌ぐものだった。あのドミンゴ/ボロディナ/レヴァインのトリオよりも福井/竹本/大植トリオが優る。なまじ舞台がないだけに、音楽の密度はかえって濃くなることを実感。

長いオペラでないとは言え、二日連続はソリストにはきついと思う。題名役の二人は特に…
 竹本節子さんは前日同様で、第一幕の歌と第二幕以降の歌の落差が大きい。この人、ドラマティックな傾向が強いエボリなどの役のほうが合うのかも知れない。聴かせどころの歌が多いこの役で、第二幕冒頭のアリアが一番いいし、しかも昨日以上の素晴らしさ。

福井敬さんは、昨日の熱唱のあとだし、声に疲れを感じるかと思いきや、いやいや、これは…。二日目の方がよりよい感じ。明日がないだけにエンジン全開、ターボも全開というところ。これまで、歌い過ぎかと思うときもあっただけに、禍転じて…となればいい。

終演後の大拍手に、福井さん、昨日は見せなかった笑顔も出ていた。大植さんと熱い抱擁まであって、本人としても会心の演奏だったのだろう。一年後にはこのコンビの「トスカ」、やはり聴きものかな。ちょっと迷っていたが、やっぱり定期会員を更新しようかな。

オーケストラはプラスマイナスあって、平均すれば昨日と同じかな。第三幕のバッカナールは、間違いなく初日の方が鬼気迫る演奏だった。ほんと、あれには「さぶいぼ」が出たから。

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