「モンテカルロの女」「ティレジアスの乳房」 ~ 陰陽・長短、プーランク
2005/1/22

遅ればせの新年第一弾は珍しい演目だ。
 夜に予定があったので、終演時刻を問い合わせたら、18:30。どんなオペラか知らない「モンテカルロの女」(日本初演)はわずか10分。それで、17:00開演の二本立てなのに、この時間。

尼崎のアルカイックホール・オクト、いつものホールの隣、小劇場になる。小ぶりな割には横に広くて、両翼だと舞台が見にくそう。大阪市内江戸堀のビルの一室にある二期会事務所までチケットを買いに行ったので、私はど真ん中最後尾の最安席。頭の上にビデオカメラがセットされているのは今ひとつだが、ポジションとしてはなかなかのもの。

「モンテカルロの女」は、あっさり終わってしまった。
 ジャン・コクトーの台本だそうで、フランス語を解さない私には有難味も判らないので、短いけれど単調に感じてしまった。
 ヒロインの垣花洋子さんは熱演だが、ひとり舞台というのは大変だ。幕が開いたらルーレット台に横たわった姿、周りの床をモップがけするカジノの従業員風の黙役の男性が数人。博打ですってんてんになった姿なんだろう。絶望、自棄、厭世というモノローグが続くが、10分のオペラで観客を引き込むのは難しい。字幕付きとは言え、原語のニュアンスはもっと微妙なんだろうし…

「ティレジアスの乳房」は荒唐無稽な筋立てと台詞。こちらは十分な長さがあり楽しめた。お話はドタバタだが、なかなか音楽が魅力的だ。
 ポップな感じの舞台と衣装、場面の転換もスムース。こういう喜劇の演出(中村敬一)は、やりすぎるとあざといものになりかねないが、出演者の演技も過剰に走ることなくセンス良くまとまっていたと思う。

テレーズ(男名になってティレジアス)役の大橋ジュンさん、夫役の福田清美さんのコンビの歌は生彩があり、演技もコミカル。楽しめた。女が男に変身し、男が何万人もの子供をつくるという、むちゃくちゃなストーリー、偶然なんだろうが、この主役二人の歌い手の名前が性別不詳(男女いずれもOK)というのは、出来すぎのような気がする。大橋さんはティレジアスのときには髭を付けたりするのだが、テレーズに戻ったときには舞台映えのする美人、花のある人だ。念のため。

エウフォニカ管弦楽団(奥村哲也指揮)というのはアマチュアかと思うが、かなり練習を積んで公演に臨んだのだろう。きっちりとしたアンサンブルでプーランクの音楽のおもしろさを伝えていた。

関西二期会は室内オペラシリーズとして毎年珍しい演目を採り上げているようです。来年は「ドン・ジョヴァンニ」とか。これは、モーツァルトが下敷きにしたガッツァニーガの作品で、2003年に新国立劇場小劇場での上演が記憶に新しい。

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