大植英次/ベートーヴェン第7交響曲ほか ~ いつもベストという訳には…
2005/4/21

演奏そのもので言えば、プログラム冒頭のベルリオーズが一番良かったように思う。ベートーヴェンは前回の第4交響曲が素晴らしかったので期待をもって臨んだが、いずみホールでの演奏には及ばず。真ん中のバーンスタインについては、何でこんな曲を採り上げるのか理解できないという感じ。大植監督の3シーズン目の開幕なのに、個人的にはちょっと残念な結果となる。

ベルリオーズ:序曲「海賊」作品21
 バーンスタイン:セレナード
   (独奏:ロバート・ダヴィドヴィッチ)
 ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92

遅ればせ、新年度、最初のコンサートだった。
 2月から3月にかけて大植英次/大阪フィルを立て続けに聴いて、このコンビの充実ぶりを感じていただけに、どんなスタートになるかワクワクしていたが、やや肩すかしの感あり。と言っても、今や期待水準が上がっているので、演奏する方も大変なことと思う。

オーケストラのキレの良さではベルリオーズが随一。短い序曲、名曲とは言えないが、オーケストラの色彩を味わうには好適なピースかな。あっという間に終わってしまった印象だが、演奏は颯爽たるもの。

同じくベートーヴェンも小気味のいいものだった。特に第1楽章の表情、フレーズの微妙なうねり、そして、休止が音楽の一部になっているところに、大阪フィルのレベルアップを如実に感じさせる。音のないところに音楽があるというのは逆説的だが、きちんと弾いていないと、休止が活きないものだ。

アレグレット楽章は、そこまで行かなくてもかなり速め、比較的あっさりとしたものだった。スケルツォとフィナーレは生気溢れるものだっが、私はなんだか別のところで鳴っている音楽のような気がして、感情移入はできなかった。あろうことか、メインプログラムの最終楽章で居眠りしてしまう。睡眠不足でもないのに…。

終盤はオーケストラを結構煽っていたような気がしたが、このコンビにしては珍しく、ハッとするようなこともなく"想定の範囲内"。いつも、聴き慣れた曲でも今舞台で音楽が生まれるような新鮮さがあるのに。先日の第4交響曲のときはとても新鮮だったのになあ。

この日はNHKが収録していたが、私の席、3階RRDからだと、TVカメラが目障り。特にベルリオーズでは舞台下手のカメラの移動が激しくて、気が散ってしまう。いろいろなアングルで捉えようということだろうが、ホールの聴衆にとっては邪魔者でしかない。TVが入るときは料金を下げるぐらいの配慮がほしいなあ。オペラの場合だと、照明が通常より明るくなると断り書きする場合もある。定期演奏会は二日間あるので、予め判っておればカメラの入らない日に聴くという選択もできるのに。

それと、バーンスタインの曲は、弦とパーカッションだけで、管楽器パートが空席のまま演奏。楽器群の距離が開いてアンサンブルの上でもマイナスだし、視覚的にいただけない。ベルリオーズのあと、きちんと片付けて演奏すべきだろう。また、弦楽器奏者の余った椅子を舞台奥に放置したままとは何をかいわんや。音楽外のことだが、せっかくの定期演奏会ですから、裏方さんも手間を惜しまないでほしい。

うちのカミサン、突然思い立って中之島公会堂での男声アカペラ(オランダのアンサンブルのザ・ジェンツ)に行ったようで、これがなかなかの聴きものだったよう。そっちに鞍替えしてもよかったかな。

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