寺岡清高/大阪シンフォニカー定期のベルク ~ なんだか難しい局面
2005/5/27

久しぶりにこのオーケストラを聴く。5年ぶりぐらいかな。今回の指揮者、寺岡清高さんの名前もそのころにはなく、つい最近就任した大山平一郎さんは言わずもがな。

定期会員になっている大阪フィルと比べると、同じシンフォニーホールが会場なのに、熱気が全然違う。客席の入りは7割方で空席が目立つし、定期会員よりも招待客のほうが多いのではないかという感じ。

このオーケストラの大スポンサーは三洋電機だが、先の新潟の地震での工場被災、赤字決算の上に下方修正発表という暗いニュースが続いている。オーケストラのパトロンどころではないかも知れない。支援縮小なんてことにならなければいいのだが…

マーラー:「花の章」
 ベルク:ヴァイオリン協奏曲
 ブラームス:交響曲第2番

冒頭の「花の章」というのは、名前は知っていても聴いたことがない曲、どんな音楽なんだろうという興味が、この演奏会に出かけた動機だった。あまりマーラーって感じがしない。こぢんまりとした、かわいい曲という印象。でも、この曲だと第1交響曲の楽章とはなり得ないだろう。寺岡さんの演奏がこうなのだろうか。音楽をきれいに作ることを指向しているのか。そんな印象を受ける。

それがより顕著だったのは、ベルクのコンチェルト。静謐な響きがとてもきれいで、取っつきにくい音楽という印象がウソのようだ。予定されていた矢部達哉さんに代わり、ソリストを務めた四方恭子さんのヴァイオリンとも相性がいい。ソリスト交代の掲示が会場前にあり、がっかりしていた人もいたが、私、これは逆だと思います。今日のコンサートの目玉はこれ。

ブラームスはいいところもあったけど、全体としては散漫だった。第二楽章のテンポが遅すぎるように感じた。non troppoのないAdagio non troppoという感じ。どうも間延びしてしまって…

第一楽章は速めのテンポで、これはこれであっさり系のブラームスで悪くはない。妙に奇をてらうところはなく、主題の提示や再現なども作為がない。素直に流れるブラームスで、そういう演奏も許容する作品だと思う。

後半の二つの楽章は、出来としてはいいもので、第二楽章の中弛みさえなければ、新鮮なブラームスだったなあとなるところ。オーケストラの響きの薄さというか、ブレンドが足りないように感じたが、そのあたりはこれからの課題なんだろう。

今後、大山・寺岡の双頭体制で行くと思われるが、どうなんだろう。一人が責任を持つ方がオーケストラにとってはいいようにも思うんだけど。

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